そんな彼が20世紀少年なわけだよ

先日練習した小学校5年生 T君とのバンドだが広小路祭本番当日を迎えた今日、ついにお目見えとなった。

小学5年生のT君からすれば恐らくは人生初のバンドでのライブ、どうせなら良い思い出にし、中学校や高校でもバンドをやりたいと思って欲しい。

というわけで20代も半ばの篠田、舟橋、一生懸命練習しましたよ。

「大変だな」と言いながらもちゃっかり歌までコピーしてきた篠田君(Vo,Gt)、「この機会を逃す手はない」とばかりにギター教室の先生から頂いたfirefoxのミニベースを持ち出した僕(Ba)、そして普段はローリングストーンズを愛する小学5年生 T君(Dr)、この3名による即席バンドで広小路祭メインステージ横、SMBCパークに設営されたステージで若干数分だけどもライブを敢行した次第である。

続・我が逃走
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T君の堂々としたドラマーっぷりを見よ!

「緊張してるかい?」

「・・・うん」

「僕もだよ。皆緊張するものなのさ。お昼ご飯はしっかり食べてきたかな?」

「・・・食べたよ」

「よし、じゃあ大丈夫!」

「ロックンロール!!」とか叫ぶのはあまりにもありがちだろうという事で胸の中で叫ぶに留め、チューニングを済ませたミニベースにBOSS社製 BD-2をカマし、普段ライブで使っているものと比べればあまりにも小さい、しかしながら今日という場、シチュエーションには十分過ぎる出力を誇るベースアンプに突っ込む。

こんな場合でもベースを歪ませるのは、あるいは演奏者としてのこだわりかもしれない。しかして小学5年生のT君の初ライブ、初期衝動のままに突っ走るのが一番良いだろう。

しかしあくまででしゃばらないように、リズムはT君主導(本来はいかなる環境下に於いてもドラムにあわせるべきだろうが、僕の場合大抵それはうまくいかない。基本ツッコミ気味で弾いてしまう)、そして興奮を抑えて地に足をつけて演奏する(それでも観に来てくれた両親、特に母親には「あんなに首振ってムチウチにならないのか」と尋ねられたが)。T君のカウントと同時に篠田君があまりにも有名な「20th Century Boy」のギターリフを弾きだす。

小学5年生にしてはあまりにも渋い選曲、しかしT君、君はよくわかっているよ。歴史を超えて愛される名曲、ロックの歴史に於いてスタンダードと呼ばれるべきものは存在するし、それらというのは無条件に人を興奮させる何かがあるんだ。

T君がリズムを刻みだすと同時に僕の演奏もアンサンブルに加わる。計らずも、打ち合わせたかのように全員黒いポロシャツを着てきた我々はご父兄にどのように見えているのだろうか。お集まりの皆様方よ、見たまえ。

恐らくは後々、ドラマーとして活動を開始するT少年の、人生初のライブが始まったのだ。

T君の表情を見ながら演奏していると、成程、緊張しているようだけれども練習通りバッチリ叩けている。おっとちょっと失敗したかな、でも大丈夫、彼は我々があわせるまでもなく、アンサンブルの中にちゃんと戻ってきた。

リズムを体で感じれているのだ。ご両親、この子、逸材ですぞ。

それはライブと呼ぶにはあまりにも短い時間だったかもしれない。そしてまだ幼い少年は、いつの日か今日の日の出来事を忘れてしまうかもしれない。けれどももし彼がこのままドラム演奏を続けるか、或いは中学、高校で「俺ドラム叩けるよ」と言ったばかりにバンドに勧誘され、ステージを踏むその時に、今日の日の事を或いは思い出すかもしれない。

その時僕がどのような生活をしているのか僕には知る由もないけれども、講師の先生の教え、そして今日の日のライブの経験がほんの少しでも彼の今後に役立てれば僕はこんなに嬉しい事はないのだ。

コメント

  1. ろくでもない より:

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    T君とバンド組みたい!
    かき氷おごるから東京きて!

  2. 舟橋孝裕 より:

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    >ろくでもないさん
    T君に会ったら言っておきますw