目を覚ますと早朝5時頃だった。
僕がインフルエンザウイルスA型に罹患している事がわかったので、妻と娘(長女、次女)は月曜まで名古屋市内の妻の実家に避難中である。何より3ヶ月を迎えたばかりの娘(次女)に感染したら大変だ。
かくして自宅にて始まった一人の療養生活もこの日で2日目となった。
療養生活とはいっても抗インフルエンザ薬を飲んだら随分と症状も軽くなったように感じられたので(僕はプラシーボ効果が多分人より強い)、ちょっとしんどいけれどもここ最近久しくなかった『完全に自分1人のまとまった時間』が出来てしまった事になる。
いつ寝ても良い、いつ起きても良い、いつ食べても良いし食べなくても、もっと食べても良い。自宅環境を害する事がなければ何をしても良い。
前日も結構それなりに家の中で動き回る事は出来ていたので2日目のこの日はフルスロットルで家事をやり、思う存分『ゆっくり』しようと思っていたのだけれども、起床時の身体の重さがそんな甘い願望を嘲笑うのだった。
インフルエンザの症状は非常に独特だ。症状が出てきた時に風邪と明確な違いを感じる。
インフルエンザの種類や個人によって差異はあろうけれども、今回実感した僕の差異はこんな感じだった。
・若干の精神的な変調
僕の場合、ウトウトしている時に見る夢やひょんな発想がいつもと異なる。
職場でも感染した人間が出、かつ体調に微妙な違和感を覚えてはいたが、発熱する前の事。
帰宅時の地下鉄の中で居眠りでみた夢が『壮年の男性が執拗に歯茎を見せてくる』だった時は「あ、やばいな」と思った。
・倦怠感
発熱由来なのか、兎に角体が重たい。動けない事はないのだがいつもより2割くらい体が重たく感じる。それに加えて精神的に変調をきたしているもんだから色々と億劫になってしまって動き出しが遅い。故にいつもの半分くらいしか活動的になれない。
精神的な変調は随分と改善されて平常時くらいには前向きな気持ちになれているのだけれども、この日は起床時に「あ、まだ熱っぽいな」と思ったし同時に体も重たく感じたのであった。検温してみると実際に微熱がある。薬を服用した上で微熱という事は相応に発熱しているという事だろう。
こうなってくると『悠々自適の療養生活』どころではない。『粛々と療養生活』にプラン変更である。
兎に角、薬を飲んで眠る事にした。と、妻から連絡が来ていないかスマホを確認すると高橋君(鈴木実貴子ズ/吹上 鑪ら場)から連絡が入っており、差し入れを拙宅のドアノブに引っ掛けてくれたという。有難い。
白線の内側企画に出演辞退する旨、連絡したので気を回してくれたのだろう、何て優しい人!
かにぞうすいとジュースと栄養ドリンクを感謝しながら早速頂いた。
素直に薬を飲んで昼過ぎまで寝た。
再度、起床。
少し具合が良くなったように感じる。
とりあえず起き出して映画を観る。時間だけはあるのだ。
『エイリアン:コヴェナント』を視聴。前作『プロメテウス』で広げた風呂敷をとりあえず横に置いておいて、とりあえず今回はこっちいきましょう!というような印象。映画としてつまらないわけではないのだけれども、色々期待しちゃった向きは怒るだろうなこれ。
時間だけはあるという事で仕入れておいた模型製作を開始。
インフルエンザで自宅療養していると起きていようが寝ていようが1日の時間の流れ方がゆっくりになる。これを利用して腰を据えて模型を作ろうと思ったのだった。
そうこうしているうちに白線の内側のライングループが動き始めた。「今から家出ますー」とか「リハ始まりました」とかそういう業務連絡的な奴だ。頼むぞ、皆。申し訳ないが今日の演奏は、託す。
企画は自宅から1キロ程のところで開催されているわけだけれども、嗚呼残念、嗚呼悔しい。
自宅で過ごしている僕に気を遣ってか、出演者の鈴木実貴子(鈴木実貴子ズ)さんや高野京介(ゲスバンド)君が連絡をくれた。
妻から連絡。
『企画、出たかったね悔しいね。でも正しい選択だったと思うよ。その体調じゃ、仮に出たとしてもちょっと大変だったね』。
妻にも気を遣わせてしまっている。優しい妻!
演奏終了後に樫山君と業務連絡の電話をした。
電話が繋がった時の樫山君の声の雰囲気から「あ、良いライブしたんだろうなー」と根拠もないのに思った。
喋っていると高野君が丁度帰るところで少しだけ電話越しに喋る事が出来た。また会おうぜ、友よ。
悔しかったので企画の感想やバンドのライブの感想等をSNSでエゴサーチしながら模型作りに精を出す。
演奏出来なかった悔しさが解消されるわけではないのだが、それでも手を動かしていると気が紛れると知った。
気がつけば夜中の27時。いやいや寝まくったからといってこれは集中し過ぎだろう。これもインフルエンザの体調不良の成せる業なのか。
絶妙に空腹だったので(深夜だから、ま、いっか)と近所のコンビニに買い出しに出掛けた。歩き始めて数分後に体の芯まで冷えてくる寒さに、外に出るのが前の日の午前中に病院に行って以来だったと思い出す。夜中はこんなに冷えるのだ。一瞬引き返して厚着しようか迷ったけれども、これ以上風邪をひく事もないだろうしそのまま行ってしまえとコンビニまで強行軍で歩き通した。
お目当てのコンビニ二郎はなかったけれども、適当に買い出しをして帰宅。
『エイリアン:ロムレス』視聴。こちらはファンサービスたっぷりの良作。あらすじは捻りを入れる事もなく直球で、それだからこそ「今観たいエイリアン映画」と感じられた。ファンなら嬉しくなるような要素も結構あって小気味良かった。
長い療養生活2日目はここで終了。何だかんだで色々やった気がしている。