先日放送されたドラマ『サ道2024SP』が滅茶苦茶良かった。
登場人物それぞれの悲哀交々を描きながら、それぞれがサウナに行き着く様子を描いており、そのドラマとしての構造とかつてない程の「笑顔」の少なさ、テンションの低さに放送直後からSNS上やネット上で賛否両論分かれ(印象的には賛否が1:9くらいだった)たのであるが、僕は今回のこのSPの方向性、年に一度になった放送にこのドラマを恐らくは確信犯的に創ってきた制作陣に最大級の拍手を送りたい。
ドラマ冒頭で原田泰造演じるナカちゃんさんが喪服姿で出てきた瞬間に「あ、今回はやばいかもな」と思った。
第1期の第1話で父親の事を「そんな親父も去年、死んだ」と振り返り、後に父親の遺したノートに記されたサウナに足を運んだナカちゃんさんが喪服を着るのは、きっと母親に何かあったと容易に想像が出来てしまったからだ。
ドラマ放送の同時期に丁度母親が亡くなって1年が経った僕は、嫌でも母親不在のこの1年について思いを巡らせており、ありきたりな物言いになってしまうけれども落ち込んでいたのだった。そのタイミングでこのドラマはきっと滅茶苦茶僕に突き刺さるに違いない、と思って覚悟をして観た。
お馴染みレギュラーメンバーやゲストキャラクターの悲哀を描きつつ、最後の最後にナカちゃんさんが登場。
そこから描かれるナカちゃんさんの時間は、気持ちがグッと沈んだまま浮き上がる気配もなく、それを受け入れるしかない諦念までまざまざと思い出す事が出来る去年の僕と嫌でも重なった。母親との思い出の甘味処で甘味を食べながら、きっとその味よりも思い出の方を噛み締めているであろうナカちゃんさんの表情で「いや原田泰造さん凄い役者だな」と思った。
サウナは『週末の楽しみ!』『自分へのご褒美!』であって良い。しかし当たり前に日常の中にある一幕であって良い。
サウナで何を感じようが感じなかろうが、それでも日々は人生は続いていくのだ。
サウナ友達の樫山君(あたらしいまち/白線の内側)もきっとそうだろうと思っていたけれども予想の2倍くらい絶賛だった、今回のサ道SP。このタイミングでサウナに行くなら樫山君と行くのが「適切」だろうと思い妻に許可を貰い、実に9月頭の福井旅行ぶり、久々のサウナに行ってきたのだった。
どこへ行くかは迷ったのだけれども、こういう時はよく行く中川コロナが良いだろう。
久々のサウナは、1周目の外気浴から物凄く感じるものが多かった。おお、そうだったそうだった、と思いつつどこまでも昇っていく感覚に身を委ねて思わず上を、仰ぎ見た。
綺麗な星空が広がっていた。
母が亡くなった直後、娘(長女)に星空を見ながら言った事がある。
「ばあばはお空の星になったんだよ、今もこうやって君やパパを見守ってくれているんだよ」
それ以来娘は夜空を見ると「あ、あそこにばあばがいる!」と無邪気に教えてくれるようになった。自分が教えた話を受けた娘の言葉に毎回、グッと泣きそうになる。
冬の夜空に燦然と輝く星を見て、そんな娘(長女)とのやりとりを思い出した。
2024年も悲喜交々、良い事も沢山あったし寂しい事もあった。
1年間お疲れ様でした。