パンク歌舞伎「マクベス」を観てきた。

続・我が逃走

パンク歌舞伎「マクベス」を観に行ってきた。

音響で関わられている松井さん(studio VETIX/G-FIGHTER)が「表現に関わっている人間ならば観なければ損をする」を仰っていたというのもあるし、能楽堂というシチュエーションでバンド(しかもタートルアイランド!)が生演奏をし、「マクベス」を白塗りの俳優達が演じるというエンターテインメントが面白そうだったのだ。

かつて演技と音楽の融合を目指した、と掲げちゃあ大層な代物になるけれども、バンドをやりながらにして演劇的な表現に焦がれた身としてはこれは観ておくべきだろうと思ったのである。

さて、能楽堂に立ち入るのは実に高校時代以来だ。芸術鑑賞なる催しで、能を観に行った時が唯一の機会だったように思う。開場前から行列に並び、開場と同時に席に向かって急ぐ。やはり、良い席で観たい。

ステージの上を見渡せながら、バンドの演奏している様子も目視でき、かつ映像効果も視野に納める事の出来るポジションをこっそり関係者氏から教えて頂き着席。正当な表現を使うならば中正面、辺りである。

床もフカフカならば、椅子も座り心地が良い。能楽堂という場所柄からか、いつも(大勢の人が集まる場所というのは小心者故に程度の差こそあれども緊張感を感じる。ライブハウス然り、映画館然り)とは違った緊張感を感じる。

地謡座にぎっしりと詰め込まれたアンプ、スピーカー、そして楽器。何てシチュエーションだ。

恐らく、能楽堂史上初ではないかと思しき光景が目の当たりに平然と展開されている。舞台や橋懸に使われている木、そしてスピーカーやアンプのどこまでも近代的な重厚感!

ああ、面白いぞこれはきっと面白い!

ワクワクしていると客電が落ち、開演。

気がつけば2時間あまりの舞台、あっという間であった。

僕はシェイクスピアの「マクベス」、粗筋も知らなければ詳細も知らなかったのだけれども、今回のパンク歌舞伎「マクベス」、後日調べたところ原典に忠実に構成されているようでところどころ演出が施されているよう。

マクベス役を演じられた永野昌也さん、声や挙動は勿論、スッと立っているだけで滲み出るその存在感はまさしく武将。終盤の戦シーンも美しい体躯を存分に動かされていて、もう観ているだけで爽快感溢れる演技。圧倒的なオーラはまさしくタイトルロールに相応しい、堂々の演技で大変感銘を受けた!

タートルアイランドの演奏も実に過剰で(褒め言葉です)、怪しい東洋の楽団として舞台に馴染んでいた。あの人達、コダマで拝見した時も思ったけれども本当に凄いな。

最後のカーテンコールで挨拶された演出/出演の原智彦さん、ご自身が物凄く楽しまれた様子でこの方が主催されるハポン劇場も是非拝見したく思った。

脳汁出まくり、目で耳で空気で楽しんだ2時間だった。

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