ベース談義

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まがりなりにもバンドでベースギターを弾く人間として、たまにはベースギター奏者らしいエントリーでもしたためてみる事にしよう。

現在、不完全密室殺人とJONNY、dadapandaと3つのバンドでベースギターを弾いているのだが、弦の張力が出力される音にもたらす影響に興味が尽きない。
不完全密室殺人、dadapandaは所謂ノーマルチューニング(4弦からEADG)で演奏しているのだがJONNYは前提として全弦半音下げ、つまり4弦からD♯、G♯、C♯、F♯で演奏されるように作曲されている。この辺りはJONNYというバンドがweezerのコピーバンドから始まったという成り立ちが関係しているようなのだが、幾度となくJONNYでベースを弾いているうちに、平時に出力される音との間に差異がある事に気がついた。

半音下げると音のハリが若干なくなるというか、音の前への出方が変化する。場合によってはノーマルチューニング時より弦がピックアップと呼ばれる弦振動をひろうためのマイクにより近づくため、入力時に歪んでしまう事すらある(如何に普段から歪むギリギリで音を構築しているかがわかる)。
それだけではなく当然右手のタッチ、専門用語で言うのであればテンション感というのか、それが随分と違う。

半音下げるだけでかくも違うものか、と思う。冷静に考えれば当たり前の事なのだが(それはそうだ。鋼鉄の弦を4本張っているわけで一説によるとそれによってベースのネック部分にかかる負荷は80キロに相当するらしい。全弦半音下げるだけでどれだけの負荷からネック材が解放されるのか、推して知るべしである)、実感が伴う良い経験をしていると思う。

一時期はその差異からくる僅かなストレスから、JONNY用にベースを一本用意すべきか思案したのだが「何でもこの一本でやりたい」というサーフグリーンのYAMAHA SBV-550への愛着から結局ベース本体の微調整で対応する事にした。

それにより随分と出力される音に変化がもたらされ、結果ストレスはなくなったので結果オーライだが、実に面白い経験をしたと思う。

楽器演奏者は自らが楽器マニアである事に帰結してはならない。楽器演奏者は自らの楽器を十二分に理解し、楽器の音を行使すべきであると考えるのであるが自分の楽器の面白みというか、楽器というものの繊細さに気付けて良かったと思う。

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