マシーネン始めました ファイアボールSG編 第6回 つや消しエアスプレー

前回まで
マシーネン始めました ファイアボールSG編 第1回 購入→洗浄→組んでみる
マシーネン始めました ファイアボールSG編 第2回 組み上がり→下地塗装
マシーネン始めました ファイアボールSG編 第3回 ちょっとした部品取り付け
ちょろっと作業した。アンテナパーツの一部を真鍮線に置き換えて取り付けた。
マシーネン始めました ファイアボールSG編 第4回 筆塗りで塗装
マシーネン始めました ファイアボールSG編 第5回 水転写デカールに挑戦

というわけで新年早々、人生初のデカールに手こずった上に塗料の筆塗りが楽しくなってしまい、いささか遠回り過ぎた感があったけれども、どうにかこうにかつや消し塗装や飾るための台座(デコパージュ)を気に出来る段階までやってきた。

つや消しクリアは実家の父の模型部屋で塗る事が決まっていたので、その前に台座を仕入れようとハンズ(旧:東急ハンズ。2022年に社名が変わったらしい)へ行く事に。
名古屋のハンズ、名古屋駅にこそあるのは知っていたけれども自分の中では久屋大通のビル店舗で記憶が止まっていたので松坂屋の地下に移転しららしいと聞いて驚いた。時が流れると色々変わるものだ。
それにしても自分がハンズに用があって足を運ぶ事になるとは。これまでは何かのついでに通りかかって何かのついでに売り場を覗いて素材を見たりしつつ「ああ、こういう工作とかに手を動かせる人生だったら良かったな」とか思っていたものだけれども、遂にそいういう瞬間が僕の人生にもやって来たのだった。
出掛ける際に折角名古屋駅に出掛けるので娘(長女)に声をかけると一緒に来てくれるという。娘(長女)は地下鉄に乗るのも好きであれば、どうやら買って欲しいものがある様子。彼女も工作が好きで最近色々作っている。材料や工作道具を買う事にお金は惜しまないようにしているが、娘(長女)が手を動かし続けた先に何があるか、何もなかったとしてもどんな経験をするのか楽しみだ。


様々なモデラーの皆さんのブログ等を読んでいるとデコパージュも創意工夫を凝らして自作する方もいるようだけれども、流石に最初は在りものを使おうと名古屋駅のハンズの素材売り場に。市営地下鉄で地下から上がっていくとタカシマ屋や所謂デパ地下然としたフロアを突っ切る事になるが、流石新年、結構な人込みであった。
一方、ハンズの素材売り場は割と落ち着いた様子で、正月早々手を動かしたい同好の士だろうか、皆静かな面持ちで目当てのものを探しているのだった。
木材ブロックが売っている一角に丁度良いサイズのカット片や、それこそ「台座」と銘打った商品が売られていた。どれがしっくりくるか実際にキットを置いて検討したかったのと、まあこういう台座は今後も使うだろうからと幾つか購入。
娘(長女)は風船とスライムが欲しいらしい。彼女は工作系動画をYoutubeで観て早速やってみたくなっているのだった。良い事!
行動力は僕よりあるかもしれないな。


娘(長女)とのハンズ遠征から帰宅後、単身実家へ。
かつての僕の部屋が今は父の模型部屋になっているのだが、いざ自分が模型製作をするようになってから父の部屋に入るとその凄さに驚かされる。そこかしこに雑然と、しかし恐らくは一定の秩序を持って置かれた工具や塗料、そして棚の上には天井間近まで「積みプラ」になっているのであろうスケールモデル。メタルラックに完成キットの数々。帆船模型に戦闘機、空母に軍艦、いずれも美麗な塗装が施されている。父に訊くと、かつてはラッカー塗装が主だったそうなのだがこの模型部屋で模型作りをするようになってからは水性アクリル塗料をメインにするようにしているらしい。部屋の中には愛用のパソコンも据えてあるので、塗料がハードディスクに与える影響を懸念してとの事。あと健康に気を遣っているようだった。
今となっては引退したラッカー塗料達は、果たして部屋の隅にまとめて片付けられているのだった。


エアブラシの皿部分につや消しクリアを流し込みながら父が操作方法を説明してくれる。
いよいよだ。人生最初のエアブラシ体験だ。出来るのか、果たして俺に出来るのか。筆塗りでさえ手をつけるようになってまだ数日でしかないのに、いきなりエアブラスなんてハードルが高過ぎやしないか。
緊張しながら言われた通りに、まずは軽く噴いてみる。
お、つや消しクリアなので色がつくわけではないのだが、うん、確かに塗料が噴射されてキットを染めている(透明だけど)実感がある。何て楽なんだ。筆塗りだったら同じ面積塗るのに数分はかかるだろう。一瞬じゃん、エアブラシ凄い!


「塗装の際にはこれを使うと良い」
父がそう言いながら差し出したのは発泡スチロール片。荷物を送ってきた時に梱包材として入っていたものをこうして再利用しているらしい。
丁度足の裏に台座固定のために真鍮線が打ち込んであったので、そのままズブリと発泡スチロールに固定。
これまで筆塗りの際には頑張ってキットを立たせて塗っていたけれども、今後は楽になりそうである。


買ったばかりのデコパージュ用素材もこのタイミングで塗装。
帆船模型を製作している父の部屋には当然のように木材染料も置いてあったのであった。
今回は「チェリー」で染める事に。台座の裏側に両面テープで貼って金物差に固定。ペタペタ筆塗りしていく。
成程、これならこういう小さい木片も塗りやすい。


染料ごと父から譲って貰ったので、今後もデコパージュを染め上げる際には活躍してくれるだろう。
このひと箱だけで何個の台座を染め上げる事が出来るのか。


キットの腕関節をバッキバキに固めたかったのと、流し込み用以外の接着剤も使ってみたかったので父に相談。
これまた「これを持っていくと良い」と接着剤を幾つか分けてくれた。
「父さんの分は良いのかしら」
「こういうのには大体スペアが(略)」
持つべきものは模型製作の歴戦の猛者の父親である。
僕の工具箱の中身、今や自分で買ったものの方が少ないのではないか。


興奮のあまり父にたかってしまった。
「あのゥ、カッターマットなんて余ってな「あるよ」」
そして出てきたのがこれ。おいおい、すっかり使い込まれていて良い感じに風合いが出ているじゃあないか。
一体父はこのカッターマットの上でどれだけの模型製作をしたのか。

僕「プラモデルってこんなに楽しかったんだねえ」
父「良い趣味だわね」
僕「バンド活動とかサウナ通いと違って、家から出ずに深夜にコソコソと手を動かせるのも良いね」
父「静かなのが良いよね」
僕「いやーもっと早く手をつければ良かったよ」
父「楽しんで頂戴」

このようにして、模型製作という新しい趣味と僕の元々のファザコン(そしてマザコン)気質が見事に合致した結果、僕の「模型製作楽しい!」という熱は燃え上がっていくのだった。
つや消し塗装が大方乾いたであろう、というタイミングで実家を辞去。
夜中に台座を加工してキットを固定したら完成だ、と思うと非常に感慨深かった。