前回まで
■マシーネン始めました ~ファイアボールSG編 第1回 購入→洗浄→組んでみる~
■マシーネン始めました ~ファイアボールSG編 第2回 組み上がり→下地塗装~
■マシーネン始めました~ファイアボールSG編 第3回 ちょっとした部品取り付け~
■ちょろっと作業した。アンテナパーツの一部を真鍮線に置き換えて取り付けた。
というわけでいよいよ塗装開始。
「マシーネンは塗装が楽しい」と愛好家達が言っていたし「どう塗ろうかな、と考えながら組んでます」と言うモデラーさんもいるくらい塗装が本番らしい、マシーネン。ここまででも相当楽しんでいたんだけどこれ以上楽しかったらどうなっちゃうの?という気持ちだ。
父とヨドバ〇カメラに行った時にタミヤカラーと塗料皿を買って貰い(まさか40歳過ぎて父親に買い物をして貰うとは思ってもいなかった)うすめ液は父が勝ったものからボトルに移し替えて分けて貰った。
下地塗装の記録時にも書いたけれども、無学なまま「手を動かせばどうにかなる」精神で製作に入った僕は塗料をうすめ液で薄めて塗りやすい状態にしてから塗っていくという事さえ知らなかったので、Mr.ホビーのアクリル塗料瓶に筆を直接突っ込んで(そういえばろくに攪拌=混ぜる事もしなかったな…)ペタペタ塗りたくったのだった。いや道理で塗料の伸びが悪いなと思ったんだよね。何分初めてなので(でもまあ、こんなもんなのかな)で下地塗装を終えてしまったけれども。
というわけで「これで塗ったら兵器っぽくて格好良いんじゃないかな」と購入したMr.ホビーの暗いグリーン系統で重ねていく予定だったのだけれども、折角買って貰ったので早速タミヤカラーを使おう!と方向転換。
プラモデル初心者の僕でもタミヤマークは何だか安心感を感じるものである。後々実家の父の部屋をしげしげと眺めたらMr.ホビーの瓶、転がってたけど。
というわけでタミヤカラーを塗料皿にとってうすめ液で薄めて、筆塗りを開始。
ベタベタ塗るのは下地塗装の意味がなさそうだし、折角だからと筆の感触を楽しむようにチョビッと塗ってポンポン筆の毛先全体で叩くように塗ってみたり色々挑戦してみた。
で、途中でグレー系統も混ぜていったりしているうちになかなか思うように出来ずに(うーん、ま、いいか!)とどんどん筆先を重ねていった。行き当たりばったりの塗装、良くいえばライブ感を愉しみながら塗装していったとでもいえようか。
しかし目標が「とりあえず最初だしそれらしく、自分で格好良いと思えるように完成すればOK」だったので筆先をグイグイ動かしていく。
どんどん筆先を動かしていくと「おいここはどう塗るんだ」「良い感じに風合い出てるんじゃないかな」「はい筆先に塗料付け過ぎ!」「うわ失敗したかな、ま!いいか!」とキットと筆先と、塗料と自分の4者の会話のようになっていく。数秒前に思い描いた「こう塗ろう」がどんどん予想外の方向に、文字通り塗り替えられていく様、そしてそれを受けて次の塗りを考えて手を動かすという作業は実際に滅茶苦茶面白かった。
そして筆塗り作業を始めて1時間程経った頃だろうか、自分の心境に変化が生じた事を自覚した。
筆先と塗料と格闘しながら何となく「こうやればひとまずはこうなるよ」的な道筋が見えてきたのでそこから外れないように、それまでよりも注意深く筆先を動かすようになったのである。
そうやって、どうにか一通り塗り終えたのであった。
当初は全体的に暗い緑色を想定していたのだけれども(ホワイトをちょっとアクセント的に入れてみよう)とチョンッとやったところ、それが思った以上にインパクトがあり、かつ下に塗った暗いグリーンと混ざりあって濁った灰色になった。
(おわっ!)と思ったのも暫時の事である。すぐに(あ、でもこれはこれで格好良いかもな)と思い直し、全体的にそういう色合いにしようと塗装し直したのであった。結果的に下地塗装の黒→暗いグリーン→暗いグリーンが渇く前に白、と重ね塗りを繰り返した結果、下地の黒は見えるか見えないか、グリーンはところどころ見えるか見えないかレベルの見え方になってしまい、これはグリーン塗った意味あったのかな…という仕上がりに。
しかしまあ良い。塗り終えたのだから。
確かに塗装、滅茶苦茶楽しかった。
これが本番という話も実に理解出来る。組み上げる際に感じた「部品の集合が一つの形になっていく、これまで存在しなかったものを作り上げる喜び」に対して塗装は「存在するだけだった代物をどういう由来のもの、どういう存在なのかを定義する」喜びを感じた。いや、でもこれはもっと複雑な快感かもしれないな。
これまで自分が一定以上の時間を費やしてきた領域での話に強引に例えるならば、バンドで人と演奏する際の「個々が不確定な演奏をする別個体複数名が、変動するバイオリズムの中で何かを掴もうと、どこかに至ろうと一心不乱に集中する」快感に近しい(近しい、であって勿論同じではない)悦びを感じたのであった。いや大袈裟かもしれないけれども一連の模型製作の楽しみは実にインパクトがあった。
しかし、快感と達成感で自然と顔が笑顔になる中、自分の中で一抹の不満も自覚していた。
この、テカり具合が、何だか、気になる。
この日はここまで。製作記録は翌日以降に続く事になる。