ムスタング・ベースを再び改造する。

大阪から帰って来、職場に出勤すると大きな段ボール箱が。

配達伝票には「ベース こわれもの」と記載されている。届いたのだ、改造のため、本体加工に出されていた僕のベースが。

今回着工したのはムスタング・ベース

JONNYではどこかしらビザールなテイストのする楽器を使おうと決めているのだけれども、ムスタングは見た目も可愛いし取り回しも良いし全ての点で合格。しかしながらモコモコした音色、どうにも煮え切らないアタック感等、気になる点が幾つかあったのでアンプのイコライザーや足元に置いたグラフィック・イコライザーで音色を補正して 使ってやらなければならなかった。

それはそれで良いのだけれども、何か面白い事が出来ないかなあと(YAMAHA SBV以外の手持ちの楽器をすぐこうやって何かしら改造しようとするのは最早僕の悪癖である)思案していた折、ムスタングベースにリア・ピックアップを増設している方にお話を伺う事が出来た。お話を伺った感じでは僕の欲するニュアンスは増設によって得る事が出来そうだし、どうせ大学時代に一度バッキバキに改造したムスタングベース、今更躊躇う事はなかった。

で、ピックアップ増設のためのザグリを入れて頂いて、自分で配線、調整したものがこれ。

続・我が逃走
やっぱり可愛い楽器だ。
可愛い楽器で歪んだ音を、というのは僕の追求するテーマかもしれない。

ムスタング・ベースというベーシックなモデルから外れた楽器だけに、色々と苦労、注意せねばならなかった事がある。ムスタング・ベースというある種異端な楽器の改造記事に一体どれだけの需要があるかはわからないけれども、記録のために細かく記しておく。

まずはピックアップ選定の際にミスを犯したのがムスタング・ベースの弦間ピッチについて、だ。

今回はジャズベースタイプのピックアップを増設したのだけれども、弦間ピッチが狭いムスタング・ベースでは同じジャズベースのピックアップでもリア用ではなくフロント用のピックアップじゃないとポールピースとの位置関係上、不具合が生じる。どのような不具合かというとムスタング・ベースの弦間ピッチより広いそれのジャズベース、これ用のピックアップをつけるとポールピースの上を弦が通らず、音が適性に拾われない可能性があるのだ。尤もフロント用にしたところで、各弦につき2つずつ搭載されたポールピースの丁度真ん中を弦が通るわけではないけれども、まあ多少の誤差はご愛嬌。十分に音は拾ってくれる。

或いはスラントさせてピックアップをつければどうにかなるかもしれない。スラントさせる角度によっては4弦側と1間側に大きな音色の差が出てしまうかもしれないけれども。

いずれにせよ今回採って頂いた方法論は間違っていないと思う。

ちなみに今回、リア・ピックアップにはセイモア・ダンカンのSJB-3、所謂クオーター・パウンドを採用してみた。

以前プレベにつけた際 に印象が良かったし、大きなポールピース、そしてメーカー側の「大出力のモデルです」という謳い文句も気に入っている。馬鹿っぽくて良い。

続・我が逃走
増設されたピックアップ近景。

次に配線、そしてジャックの位置について。

元々ワンボリューム/ワントーンのムスタングベースはコントロールパネルに穴が3つしか空いておらず、ツーボリューム/ワントーンにするにはボディサイドにジャック用の穴を開ける必要が生じる。しかしながら昔アクティブ回路を内蔵された事のある僕のムスタングベース、既にボディサイドにはジャック用の穴が開けられている。

トーンをパスしてしまえばいいかとも思ったが、折角穴は空いているしどうせなら慣れているツーボリューム/ワントーンの方が扱い易いという事で昔の自分、そしてその際に加工を施して下さった名リペアマン(残念ながら故人。NHKの番組で特集が組まれる程の有名ベーシストのベース調整も引き受けていた、プロ、アマチュア問わず多くの楽器を手がけた方だった)に感謝しつつ、配線を済ませた。

配線を終え、調整を施し、音を出してみる。

「おお、印象が違う!」

大味だった音が(それはそれでムスタング・ベースの味なのだが)歯切れの良い、タイトな音色に変化した。

洗練された、というかムスタング・ベースのどこか野太くて泥臭い音がバキッとしたアタックを含んだ音色になり、アタック感を重視する僕にしてみればこの改造、大成功。

果たしてバンドサウンドに混ぜた際にどうなるかは現状未知数ではあるが、以前よりかは確実に扱い易い楽器になったと思う。

お金は相応にかかったけれども、やっぱり手元にある楽器はストレスなく使える状況にしておきたい。

今度スタジオに持ち込んで手応えを確かめてきます。

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