7月最初の日、月初めから幸先が良い事に一日で二つのライブに出演、どちらも違うライブハウス、違うバンドながらどちらもキッチリと楽しみきった。以下、その思い出。
まず一本目は、この日と前日と二日間にまたがって新栄SONSET STRIPにて行われたCRAZY興業 presents「ダイナマイトストリップ2012」へi GO非常勤での出演。
なんだかんだでチームi GO、開演した頃へ会場入り。まず落ち着く前に機材の準備を、と手早くペダルボードを組んでいると「フロアは凄い人だ」と誰かが口にしているのを耳にする。そうなのだ、この日のi GO、比較的早い時間への出演だったのだけど転換が終わって幕が開いた瞬間に、とても昼過ぎとは思えない密度のフロア(ほら、ライブハウスって日没後、みたいなイメージあるじゃないか)にびっくりした。
CRAZY興業のメンバーも気を遣ってくれたし搬入等手伝ってくれたので慌てる事なく演奏に臨む事が出来た(あ、よし君は僕がニコチンを欲していたらすっと煙草を差し出してくれた。良い男!有難うね)。
で、演奏。この日は最後までいられない事がわかっていたので、何かを残すならここしかない。正直着の身着のままでステージにあがったし(別に服装なんて何でもいいのかもしれないけれど、やっぱりこれって決めた服の方が気合いは入るわな)、半ば僕のアイコン化している眼鏡も手元になかったけれど、それでも気合いは十二分だった。沢山のお客さんに、CRAZY興業が設けたお祭騒ぎ。非常勤ベーシストではあれども、こういうシチュエーションは単純に大好き故、テンション高く演奏出来たと思う。
ステージ前方、メインスピーカーにわたしてある鉄パイプに思いっきり掴まったらその弾みで背中というか腰というか、痛めたのは良い思い出。昌吾さんのMC中に腰を摩りながら「腰が痛え」と呟いたらすぐ隣のステージ下手側からクスクス笑い声。りょうじ君(村上君の弟/明日、照らす 敏腕スタッフ)にはしっかりと聞こえていたようだ。
CRAZY興業やi GOメンバーに申し訳なく思いながら、演奏終了後はそのまま同じく新栄のCLUB ROCK’N’ROLLへ。
この日2戦目はGRANCH 三宅理恵子生誕祭にnomutextdesunahashiで出演。このバンド、palitextdestroy の3人とお馴染みのむーんさん(ex.レッサーホース )と僕で構成されるバンド。演奏曲はpalitextdestroyの曲を中心にこの日出演したTheキャンプ 、GRANCH、そして不完全密室殺人のカヴァー。出演バンド全バンド(みそっかす は後述するけれど、ライブ中にて使用された味噌でカヴァー)の曲を演奏するという試み。
ライブの様子は沢山写真を撮って頂いたので画像付きで説明しよう。
お気持ちはわかる。僕も最初河本君(palitextdestroy)からこのプランを聞かされた時は正直何がしたいのか見えてこなかった。それくらいブッ飛んだ内容であった。
今回我々が挑んだのは「食+音楽」の究極のエンターテイメント。
前半戦はベースレスのバンドpalitextdestroyに僕がベースギターとして参加し、それと同時に野村さんが鯛を使って美味しい料理を調理。嬌声をあげて振り上げられるギターにベースにピアノ、打ち鳴らされるシンバル類、そして振り上げられる包丁。我々nomutextdestroyの演奏はかくも物騒な光景から始まり、Theキャンプのカヴァー、palitextdestroyの曲へと無事に進行した。
突如蒸気を吹き上げる炊飯器。米が炊きあがる合図だ。後半戦は、近い。
予定の曲を演奏し終えて、ベースをのむーんさんにスイッチ。後半戦はのむーんさんがベースギターを弾く。
僕はというと…
そう、ベーシスト二人がスイッチし、今度は舟橋のターン。
僕の与えられた役割はと言えばのむーんさんが調理した鯛を5合のご飯とインスタント味噌汁にて平らげる事!何故僕にこんな美味しい役割(文字通り美味しい、じゃんだって!)が与えられたのかはわからないけれども、兎に角エンターテイメントである事を意識しながらご飯をかっこんでおかずをワシワシ食べていく。この日のメニューは「鯛の刺身」「鯛のヅケ」「なめろう」である。これらが最高のおかず。だって目の前で捌かれたばかりの鯛だぜ、旨くないわけないし「最近魚を捌くのにハマッてる」というのむーんさんが遠慮容赦なく腕を奮った料理である。その衝撃は僕の胃袋を直撃した。何度も何度もライブ中だと忘れそうになる胃袋を叱咤激励しながら食う、食う、食う。
まさか「不完全密室殺人のテーマ」を背中に背負って旨い魚料理とご飯をかっ込む日が来るとは思いもしなかった。
この日の主役、三宅ちゃんも満面の笑みである。そうだよね、実際、相当美味い。
野村さんがベースを置いて(笑!)、ヅケのタレを使ったお茶漬けを作ってくれた。これまた旨い。サラサラうまうま。
お客さんも喜んで下さったみたいだし、何より三宅ちゃんも楽しんでくれたようなので本当に良かった。
宴は続く。「本物始めます!」と気の利いた一言で始まったTheキャンプにひたすらフェイクのワンマン告知(それが愛情に満ちている)で会場を湧かせるという芸当をも披露したみそっかす。
そしてメンバー愛に満ちてたGRANCH。皆が皆、三宅理恵子という一人の女性を祝うために全力を尽くしてたしこの日の全ての音楽はどんな音楽であれ祝福というベクトルに向かっていた。本人だけでなくその場にいた人間、祝っている人間も顔が綻ぶイベントだった。
こういうイベントの中身(出演陣とか、そういうのね)以外の部分で温度が感じられるイベントって間違いなく良いイベントなのは言うまでもない。
三宅ちゃん、改めて誕生日おめでとう。
三宅ちゃんとの出会いは今はもうすっかり衰退した感のあるSNSだった。登録して確か間もなかったと思う。僕は当然のように「YAMAHA SBV」のコミュニティに加入して、同好の士達があーでもないこーでもないとSBVに関して話を繰り広げているのを楽しく見ていた。自己紹介トピックに書き込みもしたと記憶している。兎に角、モニターの向こう側の同じ愛好家達の存在が嬉しかった時期だ。
三宅ちゃんとはそのSBVコミュニティで出会った。三宅ちゃんが未だに言ってくれるのだけど、彼女がこの日の会場にもなった新栄CLUB ROCK’N’ROLLに初めて足を運んだのは、実は僕の演奏を観るためだったそうだ。SBVコミュニティーで出会った得体の知れないベーシストの演奏を観に出掛けてくるって辺り、三宅ちゃんは昔からアクティヴだったんだなあと思わされる話である。同時に僕はこれを聞く度に内心照れてしまう。
出会って、挨拶して、話すようになって、その後こういった形で同じイベントに出てお互いの演奏を披露しあって、そんな関係になるだなんて僕は全く想像していなかった。当時の僕がその時やっていたバンドに所属していた事実を知っている人の方が今は少ないだろうし、その頃出会った人達の半分くらいは残念だけれども日常的に関わる事が今は出来ていないからだ。
果たして三宅さんはこの日の事を少しでも、片鱗でも想像していたのだろうか。何にしても、この日全く同じ(改造してあるのとノーマルの違いはあれど)青色のSBV-550を弾く三宅ちゃんを観ながら「何で同じ楽器なのにこんなに音が違うんだ」と思いつつ、少しだけ出会った頃の事を思い出した。出会った頃はお互いバンドマンに憧れてるような若者で、今やお互い恐らくは一般的にはアクティヴに見られるベース奏者だよ。これだから人生、面白い!
三宅さん、改めて誕生日おめでとう!どうか今後もその腕前で数々の音楽を彩って下さいね。そして今度はお互い闘争本能剥き出しで対バンしようじゃあないか。
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