一晩で10人に会ってみよう!

山田君(不完全密室殺人)から呼び出され、アルバイト先から自転車で10分程のガストへ就労後に赴く。

以前は2,3日に一回のペースで会っていたので、一週間くらい会っていないだけで「お、久しぶり」となってしまう。ガストでハンバーグを食べながら、色々と話をする。

去年末に就職した神田君に続き、無事に就職が決まった山田君。この不景気、就職難と言われている時代にほぼ採用確定状態で面接に臨んだらしい。就職活動に於けるコツに訊いてみた所、一言「コネだよ」と言う。彼の場合はそれだけでもないだろうけれども、何だかひどく納得出来る発言ではあった。とまれ、職場でも彼の技能が重宝されているようで、つくづく手に職をつけた人間というのは強いものだと感じる。

山田君、一時期に比べれば随分と鬱屈している感が薄れていたので、とりあえず安心。

あ、こうやって書いていると「不完全密室殺人のメンバー達の今、そして新しい人生への出発」みたいに受け取られるかもしれないけれど、決してそんな意図はない。バンドはあくまで解散していないし、本人達は気が向いたらまたライブ活動を再開したいなあ、と漠然と思ってはいる(誰かが待っていてくれても、誰も待ってくれていなくてもそれは一緒だ。言ってしまえば今の僕達は究極的にメンバー本意な状態なのである)。その前にバンドとして音楽以外の事で動いても面白いかもしれないな。数多くのオファーをバンド、イベンター、ライブハウスから貰うけれども、申し訳ないと思いつつ4人全員がやろうと思わない限りバンドとしてライブは行いません。多分、まだ、かな。わからないけれど。

で、「どうせなら皆呼ぼう!」となって色々な人に連絡をするも、悉く不発。連絡が通じないか、通じても忙しいかで誰もつかまらない。「僕達、友達意外に多い割にタイミング悪いね」だなんて言いながら煙草をふかす。まるで暇を持て余した大学生だ、これじゃあ。よし、どうせなら徹底的にそれらしい事をしてやるぞ。

「山田君」

「なんだね」

「僕達は今夜中に10人の人間に会う。向こうの良いタイミングで、しかもこちらから会いに行くんだ。10人の人間にさえ会う約束がとりつけれなかったら僕達ぁ本当に負け犬だぜ」

「・・・面白い!10人か」

「現在時刻は20時。あと4時間あるね、今日」

「4時間かあ」

「約30分に一人の割合で会いに行けば今日中に10人会えるね。・・・・。」

「・・・・寝るまでに10人、にしない?」

「じゃあ、それで」

というわけで連絡がついた人間からコンセプトを説明し、会いに行く事にした。「暇になったら連絡する」と言ってくれた友人も何人かいたので彼らから連絡がくるまでに出来るだけ多くの人間に会っておこうと思った。

とりあえず一人目は比較的メールがサクサク返ってきた篠田P。彼から返信がサクサク来るのは珍しい気がするので、とりあえずマウンテンバイクに跨って篠田P宅へ。ほんの少しのアップダウンを乗り越えて、急な坂道のど真ん中、アパートから出た瞬間に物凄い傾斜に直面する篠田P宅へ。

篠田Pはアメニトウタのミックス作業中で、そこにはアメニトウタのグッチさんに専務もいらした。おお、図らずも3人!

ちょっとゆっくりしていると次々と連絡が入ってくる。次々と決まる予定。闇夜を切って走る自転車、山田脱落、舟橋孤軍奮闘。

結果、6人の人間に会う事が出来ました。

・・・・・目標達成、ならず!

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