誰でも憧れの存在や心の師といった存在はいるだろう。
僕の場合、島田雅彦氏はそれにあたる。
大学1年の頃、暇な講義の時間をどうにかしようと思い、生協の本屋にて「やけっぱちのアリス」を表紙に魅せられて衝動買い。あまりのセンスの独特さにアンダーラインを引きながら読み進めた。結局、その文庫本はアンダーラインだらけになってしまった。
あんなに読み返した小説が他にあるだろうか?登場人物たちの言葉回し、思想に刺激を受けた。続いて「僕は模造人間」「彼岸先生」を読破。
相変わらず卓越している。数作読んで実感したのは、全ての著作の後ろに感じられる著者の人間性。きっと恐ろしく頭がよく、そして複雑な人間なのだろうと感じた。
世の中を、真剣に線引きして見なければああいう文章は書けない。斜に構えるのではなく、切実に斜なのである。
そして先頃、mixiで島田雅彦氏を発見した。一ファンとして、無礼ながらもマイミクシィ登録の申請を出してみた。
添えたメッセージは無礼であったかもしれないし、愛想のないものだったかもしれない。相手は僕の「ものを書く」という姿勢に多大な影響を与えた人間である。
自分が書いたメッセージを読み返した。わけがわからなくなった。
ひょっとしたら恐ろしく怖い人かもしれない。「無礼者!」と一喝されるかもしれない。作家という職業に対するステレオタイプなイメージがそう思わせた。
が、青年特有の無謀さで僕は送信ボタンをクリックした。
そして。先生は承認した。一読者と作家が繋がるmixi。
実に、時代は変わったものだ。
コメント