熾烈極まる週末であった。
土曜日はまあ至って平穏な週末(買い物であったり義母、義姉と行きつけのショッピングモールにてケンタッキーフライドチキンをかっ食らう等)を過ごしたのだが、この日の正午頃に妻がコロナウイルスの3度目のワクチン接種を受けたので日曜日は皆で家で大人しくしていようかな、と思うくらいのほほんとしていた。
深夜に職場の上司とモンスターハンターに興じ(接待的な奴ではなく、元から一緒に一狩り行ってた上司が同じ支店にやって来たのであった。仕事中は狩りの話は一応、差し控えるように心掛けている。真面目な部下だな僕ぁ)、終えた頃に若干の倦怠感を感じた。
「おっと連休だからっていささかはしゃぎ過ぎたか」と深夜ではあったが普段の週末よりかは早めの就寝を心掛けた。
しかし。しかしである。
日曜日、起床と同時に体に異変を感じる。倦怠感がどうにも、普通ではない。それに胃の辺りがムカつくでないか。心なしか体も熱っぽいようだ。
妻はというとやはりワクチンの副反応で、発熱と倦怠感。これはまずい。夫婦揃って共倒れだ。唯一、娘だけが元気である。娘に事情を話すと3歳なりに察してくれたのかディズニー映画を観て両親のフォローが手薄な中でも楽しんでくれた。
時間の経過と共に悪化する体調、用心して軽めにした昼食=ゼリーにプリンも胃に入れて程なくして嘔吐してしまう。嘔吐すると体力を消耗する。そして下痢。
「胃腸風邪」という単語が頭をよぎる。熱が微熱なのが不幸中の幸いと思っていたのだが、体温計も夕方頃には38度を刻んだのであった。
妻も寝込んでいる。フォローが手薄な娘が気がかりで声をかけると逆に心配してくれた(「すぐによくなるよ!」と言いながらトントンしてくれる優しい娘なのであった)。
諸君、正直に告げよう。
ここにきて僕は生来の真面目さを発揮したのであった。大型連休の中日、しかも月曜日である。仕事を体調不良で休もうものなら会社員失格の烙印を押されかねない。いや、自分以外の人間がそうするのは「まあそういう事もあるよね」で済ませられる。だけども気位が高い僕は人に隙を見せたくない、出来るだけ見せたくない!
これは絶対に、今日中に回復せねばと心に誓った。
妻の実家から嘔吐対策の薬の差し入れ、そして僕の実家からは寝過ぎで痛む背中に貼るロキソニンテープの差し入れがあった。というか両家共に妻と僕が頼んだ。感謝感激。
薬を服用してうとうとしていると少しは回復したのか気分が良くなった。この隙だ!と娘の晩御飯を用意し、あり合わせの胃袋に負担のないもの(とはいえカレーが食べたくなったので冷蔵庫にしまってあったレトルトカレーを食らった)を胃に入れておく。妻は食欲がないらしく夕食をとらなかったが、僕がカレーを食べているのを見て「お前は正気か」という顔をした。確かにカレーは刺激が過ぎる。
食後、時間をおいて娘を風呂に入れる。
入浴はやはり体力を消耗するのか上向きになった体調が悪化するのを感じた。兎に角気力を振り絞り、復帰しつつあった妻も参戦して娘の寝かしつけの準備を行う。きっと翌朝、無事に復帰する事を信じて娘の保育園の準備は最低限、残りは翌朝の自分達に任せる事にし、薬を服用して眠る。
「絶対治す絶対治す絶対治す絶対治す」と心の中で念じながら就寝した。
目覚ましは、普段通り、予定通り出勤する場合の時刻にセットした。
目覚ましで目が覚める。覚めた瞬間に勝利を確信した。横になっていながらでも、体が軽くなっている事がわかる。
体温計を使うまでもないが勝利を完全なものにするために脇に体温計を挟む。平熱よりも低いくらいの体温である。
完全に、勝った。倦怠感もなく、胃に若干の違和感はあるが朝食もいつも通りのメニューを平らげる事が出来た。
人間は意思の生き物だ。今回は僕の意思が勝った。
妻も、出社した。彼女も気合の人なのであった。胃の違和感は僕よりも残っていそうだったけれども。
「熱がないだけで随分と楽に感じるね」だなんて言いあいながら、二人ともホッとしていたと思う。
本当にギリギリであったが、この勝利の記録は日記に残しておきたい、と痛烈に感じた。
この経験が今後の人生で、苦境に於いても闘う意思を保つ根拠の一つになるであろう事は明白だからである。
写真は、先日のかくれんぼの際の娘の様子。
親バカだとは思うがこういう写真が増えた。
僕のスマホの写真フォルダはエフェクターと妻と娘の写真、あとは「近々作ろう」というレシピのスクリーンショットばかりである。