名優、逝く。

続・我が逃走

ロバート・カルプ氏が亡くなったという訃報を聞いた。

また一人、名優が逝ってしまった。

ロバート・カルプ氏は僕にとって『理想的な刑事コロンボの犯人役』である。氏の演技は結局「刑事コロンボ」シリーズでしか拝見していないけれども(氏が主役を張ったアクションシリーズは未見)、それだけでも素晴らしい名優だと思う。結局シリーズ最新作までに犯人役で3回、昔ながらのファンを喜ばせる意味合いでの1回の脇役出演を鑑みても多くのファンが氏の演技を認めていたのは疑いようのない事実なのだ。

氏が犯人役を演じた3作は全て観たけれども、まずは何といってもシリーズ初期の名作「指輪の爪あと」だろう。探偵会社社長役で、氏はシリーズ史上にその名を残す名演技を披露した。犯人の性格が事件に大きく関与する本作では、犯人のリアリティがそのまま作品の説得力に直結する。氏は巧みな演技を以ってして激情家で利己的な犯人像に説得力を持たせたのであった。

そしてファンの間ではもはや語り草になっているコロンボ警部との会食シーン。コロンボ警部を演じるピーター・フォークが不注意からネクタイを料理の中に突っ込んで、しかもそれを気付かずに喋り続けてしまうのだが、氏は何くわぬ顔でそのネクタイを取り出してやり、ハンカチでネクタイを拭うのだ。「あ、どうもすいませんね」という警部の台詞でカットなしでそのままシーンは続く。撮影中の不慮の事故を咄嗟のアドリブでOKテイクにしきったという逸話なのだけれども、このシーンがまた逸品。ネクタイをハンカチで拭う時の氏の表情がまたたまらなく、二人の役者魂を感じさせられる好シーンになっている。

エピソード的にはいまいちな「アリバイのダイヤル」ではフットボールチームの敏腕ゼネラルマネージャーを演じ、地味でミステリー的にも穴が多いこのエピソード、氏の演技で見れる作品になっている。

「意識の下の映像」ではサブリミナル効果を利用して殺人を企てる犯人を好演。時代を先取ったサブリミナル効果のインパクトも相まって個人的には印象深いエピソードとなっている。

画面に長身でハンサム、そして「やり手」っぽいこの人が出てくるとそれだけで僕はワクワクしてしまうのだ。

先日、自宅近くを散策中に倒れ、そのまま帰らぬ人となったそうである。本当に残念だ。

ご冥福をお祈りします。

コメント

  1. CGSダイスケ・ダイスキ より:

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    なんてことだ!知りませんでした!
    ああ、しかも並べられている話大好きなやつばかりじゃ無いですか!ああ、ああ、あの役者さんか!!と、いまショックを受けています。
    意識の下も好きですが、アメフトの話凄い好きなんです。
    白いタキシードに変装してプールサイドから殺す奴でしたよね、たしか。あの変装した格好がカッコよすぎてずっと憧れておりました。この人カッコよすぎですよ、見た目!
    コロンボの役でしか恥ずかしながら分からないですけど、ご冥福をお祈りします。

  2. 舟橋孝裕 より:

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    >CGSダイスケ・ダイスキさん
    白い~ってあれだね、アイスクリーム売りに変装してる奴だね!氷の塊で殴り殺す奴だ!
    殺して移動する時にアイスクリーム食べてるのと、あと犯行現場近くで「おじちゃんアイス売っておくれよー!」って子供が来るの凄い憶えてる。

    本当に格好良い俳優さんでした。
    コロンボの犯人役の中でも最高の俳優の一人だと思います。