斉藤君と大丸に行った話。

今から丁度24時間前には斉藤君と大丸に並んでいた。

大丸ラーメンがいよいよ11月一杯で本当に閉店らしい、という話を耳にしたのはここ最近で、その情報は「ひょっとしたらこのまま閉店せずに続くんじゃないか」と心のどこかで希望を抱いていたファン達を心底打ちのめした。
柴山社長(ONE BY ONE RECORDS)は「身内が死刑宣告を受けたような気分だ」とそのやり場のない気持ちを評していたし、クロさん(今池HUCK FINN)は絶句した後「…まじかー…」と言葉にならない様子だった。
情報ソースは大橋さん発信の信用出来る友人経由で、詳しく聞いた所どうやら、本当に”その日”は間近なようだった。
閉店が確定した今、可能な限り大丸に行きたい。そんな風に思っているのだが、斉藤君から「最後に行くのは君だと決めていた」ともう本当に、何ていうかこれ以上はないくらいに嬉しい言葉を貰ったのはつい先日の事。
彼の都合の良い日程を確認すると丁度その日は毎週パイプカツトマミヰズの練習なのだが、なんともタイミング良く練習も休みという事で土曜~日曜の深夜、二人で大丸に並んだという次第。

流石は土曜深夜の大丸、一週間で一番行列が長くなる夜だけあって僕が到着した頃には20名近くの行列。列の最後尾には斉藤君、そして練習終わりにやってきたカリクビ君、レッド君(いずれもワッペリン)とも偶然鉢合わせした。食べ物や機材の話等、斉藤君と大いに盛り上がる。

「…さっきから僕達、楽器や食べ物の話ばっかりで本当に男の子が好きなものの話ばっかりしてるね」
「いつもそうだったじゃん」

恐らくは何気なく口にしたであろう斉藤君のそんな一言に、色々な思い出が甦った。
偶然大丸で鉢合わせした斉藤君が僕の同行者の食べきれないラーメンもペロリと平らげた事、二人で「何をプラスワンすると旨いか」という企画に挑んで斉藤君は干し海老、僕はキーマカレーをぶっかけて食べた事。
嗚呼、斉藤君に限らず、本当にここには色々な思い出がある。
2時間半の後(今までで一番短い2時間半だった、と記しておく)、入店。もやしがもう在庫切れとの事で申し訳程度に盛られたもやしと影も形もないキャベツ、そして最高の色具合の肉、とスタンダードではないけれども大橋さんの誠意に満ちた盛りで頂く。
心底、旨い。隣で斉藤君も「…旨え」と思わず言葉を漏らしている。
そうなのだ、昨夜の大丸ラーメンは最高に旨かった。もやしが少なくても、キャベツが盛られていなくても大丸ラーメンは大丸ラーメンであった。
ちなみに、肉はここ半年間の間で一番旨かった。大満足。
人生で最後の大丸ラーメン、その一杯を食べ終えてからも斉藤君はびっくりするくらい普通だった、普通だったように見えた。大橋さんに特に何を言うでもなく、恐らく毎回彼がそうしてきたように片付けずらい端の席に座った僕の丼まで片付けてくれて、大橋さんから「もうトーマスもブラックサンダーもないから」と袋ごと渡された飴玉を店内中の人に手渡しし、そして「ご馳走様」とそれ以上でもそれ以下でもない程に適切な分量の感情をのせた感謝の言葉を口にして彼は人生最後の一杯を〆め、店を後にした。
店を出てから「今日の大丸も旨かったなー」とお互い感想を述べ、満足気に腹をさすりながら家まで送ってくれるという彼の車に向かった。多分、駐車してあった駐車場も今まで彼が毎回大丸に来る際には停めてきた場所なんじゃないかな、と何となくそう思った。

そして斉藤君が「使わないから」と使わなくなったエフェクターを進呈してくれた。

saitoupedals.jpg
こんなに大量だとは思わなかったので、ペダルボードの蓋を開けた瞬間に思わず言葉に詰まった。
友よ、有難う。大切に使わせて頂くよ。
というわけで斉藤君から譲って貰った、彼の思い出も詰まったエフェクター達をベースで鳴らすとどうなるか、レビューしていきたいと思っています。

コメント