時間が過ぎるのを楽しんだ夜。

昨夜、ふっとヒゲさんのバーへ行った。
千種の線路沿いに存在するそのバーへは今まで親しい人と連れ立っていく事が多く、一人で行くのは初めてだったので少しだけ緊張していたのだけど。

杞憂に終わった。
ヒゲさんが葉巻を薦めてくれる。興味を抱いていた事だけに有り難く頂戴する。
楽しみ方等を教わりながら葉巻を楽しんでみた。いい感じだ。煙草の感覚とは違い、吸うというかふかすというか、「楽しんでいる」と言うのが一番近い感覚。
ほんの数回訪ねただけなのに僕の体質を理解してくれているのだろうか、ヒゲさんは巧みに僕が楽しく酔えるお酒を出してくださった。

そのうち素敵な男性が。人間としての深みを渋さとして発散するような、そんな温厚そうな男性だ。
男性の行為でまたまたシガーを頂く。これまた深い味わい。なかなかに高級なものらしく心して味わう。
「ラムと一緒に楽しむと、もうこんな感じだよ」
その方はそう言いながら舞い上がるような仕草をされた。

ラムとシガーの楽しみ方。
シガーを吸い、煙を全て吐き出さず口の中に残したままラムを飲む。
ラムとシガーの相乗効果で天国のような気持ちになれる。
ラムの入ったグラスに、シガーの煙が少し残るのだけど、それがまるでラムが冷たい煙を出しているかのようで非常に幻想的で美しい光景だった。
その後、その男性、佐藤さんと言っただろうか、その方が教えてくださった。
シガーと映画、海外のミステリーや小説との関係。
昔のミステリーでは、葉巻の灰から吸った人物の性格を推理し事件解決の糸口とするなんて粋な演出があったそうだ。
敬愛する刑事コロンボでも警部は常に葉巻だし、証拠品として葉巻が登場する事もあったなあ。そう呟いた僕に佐藤さんが切り返す。
最近のコロンボは条例の関係であまり喫煙シーンがないね。ありゃ咥えてるだけだよ。
確かに。

最高の時間が過ごせた。
本当にいい夜だった。

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