最近観た映画3作品の感想をつらつらと書いておく。
映画観たなら感じた事はあったはずだし、じゃあそれを言葉にする努力をするという事は面白いんじゃないか、と思ったので。言語化しているうちに「ああ、俺こんな風に感じてたの」って再確認する事もしばしばあるわけだし。
『ゲット・アウト』
コメディアンが初監督作品で撮影したというホラー映画。2017年公開。話題になったよね、これ。
僕はほぼほぼ予備知識なんて持たずに観ちゃったんだけど、いやこれ正解、大正解だった。
アフリカ系アメリカ人に対する差別に真っ向から挑む、的な作品なのかと思いきやそういう要素を扱いつつきっちりホラーで、しかもその差別問題という要素がホラー映画としての構造的にも必要不可欠でさらにはそれを扱う事で面白さを増している、という非常に奥深い作品。ホラー映画って頭使わないでしょって印象あるかもしれないけれどもこれは是非観て頂きたい。
視聴後に色々なシーンを思い出して「あ!あのシーンもあのシーンも、思えばあのシーンも!」とこの映画が最初から実は伏線だらけというか巧みなミスリードだらけだったと気付くだろう。
ここ最近観た映画の中で一番のお薦め。
『ハイテンション』
2003年、仏作品。
物凄いグロ映像のオンパレード!みたいな煽り文句でレビューサイトにも書いてあったりするんだけれども、観終わった後に不思議とそういうグッチャグチャにグロい、みたいな印象は残らないというか。むしろそこまでグロいわけではなかったような気がする。主人公のベリーショートの女の子が田舎にある女友達の実家に泊まりにいったところ、夜中に汚い作業着を着た中年男が乱入してきて一家を虐殺し始める、というホラー映画。
一家惨殺シーンは印象に残るものの、不思議と淡々とした静かなイメージでそれよりもタイトル通りテンション上がる描写はそれ以降、終盤の辺りである。
ストーリー的には一筋縄ではいかない系の粗筋になるのだろうけれども、別にそこまで驚く結末ではないというかそこにカタルシスを感じる映画ではないと思っている。
MUSEの『New Born』が流れるんだけれどもシビレる程格好良いタイミングで流れる。この一曲によってこの映画、妙にまとまってるというか良い意味で大衆感をゲットした気がする。個人的な感想だけど。
『殺人者の記憶法』
韓国映画。
アルツハイマーの元連続殺人鬼が、娘を守るため巷を騒がす連続殺人鬼に挑む!という映画。粗筋だけですっげえ面白そう!と観たものの想像とはベクトルが違った映画であった。けれども丁寧に作ってあって、煙にまかれたようなオチ以外は好印象。
まずアルツハイマーの元連続殺人鬼という設定が面白い。現役連続殺人犯の凶行を止めるために乗り込んで殺害しようとするも肝心なところで「あれ、俺は何故ここに...?」状態になってしまったり、記憶は失っても手は人殺しについて憶えていたりと設定を活かしたシーンが多い。事故の影響でアルツハイマーが進行しているのだけれども、娘からメモ代わりにとICレコーダーを渡されていてこれが映画の終盤でも小道具として効いてくるところも小気味良かった。
もっと陰惨な描写を期待してしまった、というと語弊があるかもしれないけれども『悪魔を見た』の連続殺人鬼って映画の細かいシーンは忘れても冒頭の隠れ家のサビついた汚らしい雰囲気というか、そういう臭いみたいな部分は妙に印象に残っていてそういうのがあまりこの映画にはなかった。そんなところにこだわったりするのは多数派ではないのであろうけれども。
妙に陰惨な映画ばかり観ている。
人格を疑われそうだが、こればっかりは好きなんだからしょうがないとしか言いようがない。
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