死にたくない。

車の助手席から墓場ばかり三ヶ所も眺めた。
僕は死ぬのが怖い。圧倒的に恐ろしい。自分も家族も身近な人間も、誰一人として死なないといい。毎日毎日面白可笑しく過ごしたい。

死というのは現状、確実に誰にでも訪れるもので亡き人間が残すのは思い出と、その人の意志ばかり。過去形で語るのも語られるのも御免だし、周りの人間がいなくなっていくのが耐えられないからと言って自分が先に死にたい等とも思わない。不老不死、とまではいかないにせよそれに近い欲望を抱いた事もある。

確実に忍び寄る死。ファザコンにして母親と仲が良い僕にしてみれば、両親の死等想像するだけで身が張り裂けそうだ。偉大なる父と愛すべき母の間に生まれた誇りは死ぬまで無くさないにせよ、その当人達が自分の前から姿をなくす等許し難い事だ。心の中や思い出の中に生き続けるくらいなら、実際にいて欲しい。ああ、嫌だなあ。

現実になる前に折り合いをつけれるのだろうか。許せないまま、それでいいならそれでいい。

コメント