深夜のラーメンというのは何故かくも旨いのか。
深夜に食べるラーメンというのは、その背景に背徳感、禁欲を軽視する事、事故責任の咎からの解放がある。それらによってラーメン一食の旨さに変化がもたらされているとはとても断言できないが、それ故に何かしらの作用があるのもまた否定できない現実であろう。
と、たかだか丼一杯分のラーメン一食に哲学的思想を求めてしまう程に、深夜に食らうラーメンというのは言い知れぬ魅力を感じさせる。
勿論今夜、僕が高山ラーメン(味噌味)を胃袋に流し込みながらそんな事に思いを馳せたわけではないのだが、それを食べ終えて「ほう」と一息ついた瞬間に心のどこかに何かイケナイ事をしているような、きまりを破ったような恥じらいが生じたのも事実である。
そしてこの作用こそが、古今東西この「日本食」が誕生して以来様々な老若男女に後悔と自責の念を与え続けつつきたのは疑いようのない事実であろう。
イブが口にした禁断の果実、とまでは言わないが、我々は例えようのない魅力を放つ深夜のラーメンを口にしながら、彼女が感じた禁欲からの解放と快楽に溺れる快感を追体験しているのではないかと思う。
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