犬栓耳畜生@緑橋 戦国大統領

04/11(土)
その日が、来た。
去年の8月から自動車教習所に通っていたのだが、教習終了期間(これを越えるともうお金も返せないよー教習終了だよー)ひと月をきったところでこの日どうにか卒業検定。仕事の合間に少しずつ通ってこのペース、ではあるのだけど正直内心ヒヤヒヤしてたから安心感があった。
しっかり練習もしたし卒業検定もばっちりなはず、ではあったのだけどいざ受験するとなるとやっぱり緊張するよね。
結果としては無事に合格。ロビーモニターに表示された『おめでとうございます、全員合格です』の文字と拍手の中、若干エモーショナルになったけれども卒業式は想像よりも淡泊で、そりゃそうだよなあと思いつつ平針試験場(名古屋人はここで本、免試験を受ける)へと思いを馳せた。
長かった自動車教習場通いもこれにておしまい。技能教習の際に教官にイラついた事もほんの数回あったけど、思い返せば教官達が言っていた事って一切間違ってなくて、いらつけばいらつく程次の教習に活きてきたりするもんだからやっぱり僕は師に恵まれたのだと思う。お世話になった教官は何人もいらっしゃるけれど、特に気にかけて下さった教官が二人いらっしゃるので免許を取得した暁にはきちんとご挨拶に伺おうと思う。
30歳からの自動車教習場通いは周りの教習生との年齢差とか気になっちゃうのかな、と思っていたけど意外とそうでもなかった。多分周りもそんなに気にしてないし教官達も「お仕事しながら大変でしょうが頑張って下さいね」と言葉をかけて下さったり時には予定のやりくりをして下さったりと十二分に慮って下さった。
もしこれを読んでいる貴方が自動車免許をまだ持っておらず、かつ「自分は通うには遅過ぎるのではないか」と物怖じしているのであれば悪い事は言わない、すぐに通った方が良い。年齢に関する問題で貴方が懸念しているような事柄はきっと起きないだろうし、それに何より一定の年齢を重ねてコミュニケーション能力も相応に磨かれてからの自動車教習場はとても楽しい。

さて、その後一度帰宅し荷物を持って名古屋駅へ。
この日は犬栓耳畜生という新規参加したノイズバンドで大阪は緑橋 戦国大統領にて演奏、他のメンバーと別行動の僕は高速バスで往復の移動をする。
インターネットは便利だ。前日仕事の休憩中にスマートフォンで往復の高速バスをサクサクッと予約する事が出来た。クレジットカード引き落とし&インターネットって最強だよな、とその利便性と恐ろしさについて考えていると予約確認メールに気になる一文があった。
「大きな楽器はお持ち込みをお断りする場合があります」
一般的にギグケースに入れたベースギターというのは多分、デカい。いや絶対にデカい。持ち込み手荷物の許容サイズみたいなのを見たら全長1メートル以内、とか書いてあって舟橋その瞬間に頭抱えそうになっちゃったよ。
しかしすぐに閃いた。
犬栓耳畜生で使っているベースギターはダンエレクトロのロングホーンベース。ショートスケールのボルトオンネックだ。
ボルト(ネジで)オン(とめる)。ネックとボディはバラバラになるし紙と木の合成樹脂メゾタイト製のこのベースギターは著しく軽い。ちょっと不安になるくらい軽い上に、中空でここまでくると下手なギターより軽いくらいだ。
ネックとボディをバラバラにして、リュックサックに入れて手荷物扱いにして車内持ち込み出来ないだろうか?
トランクに入れる事は断られてもそれなら「膝の上で抱えますから!」と言えば許して貰えそうな気がする。
バス会社に電話してみると「トランクに楽器のケースを入れる事はお断りするケースは稀にありますが、入れて頂く事も不可能ではありません。ただ膝の上に抱えて頂いた方が安心かとは思います」とお返事頂いた。
「楽器をバラバラにして」と僕が提案した瞬間に一瞬電話の向こうで「え」って聞こえたのは気のせいだきっと。
というわけで僕は念には念を入れてリュックサックに演奏道具一式を詰めて持ち込む事にした。やってみたかった、というのが正直なところだ。


果たしてこの日、バス乗り場でベースギターのヘッドが突き出したリュックは無事に手荷物として認められた。何も触れられる事なく搭乗する事が出来たし、隣の席のお姉さんに「邪魔じゃないですか」と訊いたら「大丈夫ですよ、むしろごめんなさい、私が棚の上使っちゃったから」と物凄く気持ちの良いお返事まで頂いちゃった。


結論:ダンエレクトロはリュックサックに入れて持ち運ぶ事が出来る。その場合、リュックサックはギグケースになるばかりかエフェクトボードも兼ねる事が出来る。

高速バスを降りてからはGoogle Mapと乗り換えナビとスマートフォンのアプリケーションをフル活用して戦国大統領を目指す。スマートフォン最高だぜ、可愛いよスマートフォン。
メンバーから遅れる事数時間(その数時間の間にメンバーは焼肉とリハーサルとモツ鍋とアルコールを大量に摂取していた模様。開場前の段階で「往復の交通費よりも飲食費のがかかっている」と言っていた)、無事に到着した戦国大統領は入店するなり雀卓を囲んでいる怖そうなお兄さん方、配管のパイプで覆われた天井に良い意味で雑多な店内、そこかしこに漂うアンダーグラウンド(地下鉄の出口から直接入場出来るので文字通り、そうである)な気配と「THEライブハウス」という感じで最高だった。大好き、ああいう雰囲気の場所。ちょっとビビるけど。
さてそこで演奏した犬栓耳畜生のこの日の演奏がノーカットでYoutubeにアップロードされている。

純然たるノイズかと言われるとどうなのだろう、わっからないけれどもこの日僕達はお互いのエクストリームした感情を殴りあうようにぶつけ合い、その過程でアンサンブルを構築する喜びを知り、結果的にはわかりやすい、ポップな演奏が出来たと思う。それぞれが課題を見出す事が(恐らくは)出来ただろうし新バンドの結成一回目の演奏として相応の収穫を得る事が出来たと思う。
舟橋の課題としては「緩急のついたノイズ」「弾かない、とは」「もっと絵具をぶちまけるように」。
それにしても初めてマーシャルのギターアンプを使ったけれど、あれって(ギターアンプ)初心者には難しいねえ。音質と音量調節が難しくて「ええい、ままよ」という気分になった。
このバンドは今後も続いていくようなので次の機会に活かしたいと思う。
演奏後にテキーラで乾杯する戦国大統領、好きだよ。
終演後にテキーラで乾杯する戦国大統領、好きだよ。
少し時間を空けて、今度はウォッカで乾杯する戦国大統領、好きだよ。
きっと、また行きたいと思う。

夜はラーメンを食べて、ビデオ試写室で寝ました。
翌朝は早起きして、高速バスで名古屋へ帰った。
ちなみに、荷物は床下のトランクへ放り込んだ。誰にも、咎められなかった事をここに記しておく。

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