25日はワッペリンで犬山市は善師野にある清水寺にて行われた犬山芸術祭2013、略して犬芸2013に出演してきた。
運営に友人が関わっており「舟橋さんも出ませんか?」と声をかけて貰ったので芸術に興味津々のワッペリンで出張ったというわけ。
アンプやらドラムセット等の機材搬入は23日の夜に済ませていたので、当日は楽器と人間でゆったりと会場入り。
お寺の室内や境内を使って様々なパフォーマンスや展示が行われて、良い意味でハンドメイド感溢れる面白いお祭だった。
寺の境内で演奏するワッペリン。
午前中は小雨も降ってた空模様が晴れ渡り、絶好の演奏日和。
歴史がありそうな境内の足場に汗がポタポタ垂れてなんだか罪悪感に駆られたよ。長谷川君が自前で持ち込んだキッズドラムに僕自前の小口径のキャビにアンプヘッド、人様からお借りした真空管アンプを使って即席のステージを作ったのだけど想像よりもずっとずっと演奏しやすかった。本堂を背負っての演奏ってなかなかそうそう、出来るものではない。
珍しく裸足で(普段は足が痛いから靴を履いてる)やったのだけど足の裏の木の感触も心地好く、とても気持ち良く演奏出来た。自前セットと歪みペダルの相性も良く、犬山のお寺からファズベースを轟かせる快感ったらなかったよ。
素敵な出会いや面白いパフォーマンスも観た。
甚田剛史さんは映画「少年R」を公開。寺にある衝立にプロジェクターで上映という方法も素敵だったけれども、何気なく観始めたその映画が良かった。中途からで粗筋もわからないまま眺めていたのだけど、構図の格好良さやその映像の質感や編集の巧みさで、すぐに真面目に観入っていた。なんだろう、観る側に親切な構図というか丁寧だったりするのだけどちゃんと意図が伝わるというか。閉鎖的でなく上品に主張している感じが凄くした。本人の人柄も興味深く、なんと今かしやま君を素材に映像を撮影されているようでこれまた楽しみ。
KANAMORINこと金森君のソロパフォーマンスはこの日はギターと彼の歌の正攻法。ループエフェクターを使って音を重ねていくのだけど、彼の音楽って柔らかくてアンビエントなその音が寺の境内に広がっていく様はとても素敵だった。
翌日、最終日である26日は活け花と音楽の複合表現だったみたいでこれが凄く評判が良かった模様。
先日ご一緒したばかりの田中みなさんのソロ、「または田中」も田中さんの瑞々しい感性を田中さんの広がりのある演技で打ち出していて、僕、存分に楽しんだ。
田中さん、あれ相当に楽しんでたんだろうなあ。人に突き刺す表現ではないけれども、人を楽しませるひとりしばいだったと思う。ご本人の人柄通り。
そして遂にこの日、小池優作がやりやがった。「女子じゃねえ」と名付けられたそのバンドは女装した小池君(ボイスパーカッション/歌)と田中さん(魔法の笛/ぬいぐるみ)と赤井さん(魔法の笛/コキリコ)によるスリーピース。
即興で小池君が提示するテーマに田中さんと赤井さんが演奏で彩りを添えていたのだけれども、バランス感覚といい小池君の言葉選びといい小池君らしさと「バンドをやってみたかった」と語った小池君の音楽を楽しむ様がとても、とても事件性を帯びていた。「楽器が出来ないから」と自らに可能な方法論を採った結果、それが全く新しいものになっていた。音楽の原始的な快感を感じさせられるそれは、発明だと思った。小池君、お見事!
かしやま君(孤独部)が披露した今回の「drawing:」について言葉多く語る事は出来ないけど、彼もやはり続いているんだなと思った。周りの人間達の中では彼女の事は終わるものでもないだろうけど、先日のツーマンを経て再びかしやま君の即興で触れられた彼女についての言葉は、良くも悪くもなく純粋に時間の経過を感じるもので。そんなかしやま君の一人芝居は日没頃の清水寺の雰囲気に凄くマッチしていた。ステージ背後の本堂内で撤収をしながら観ていたのだけど、独特の空気があったなあ。
機材の返却の関係上、バタバタと撤収、名古屋へモドリ。
機材を無事に返却してからは風神ちゃんと長谷川君と焼き肉を半ばうんざりするくらい食べた。腹が膨れて動くのが億劫なくらいの焼肉って最高の贅沢。
この日に観た様々な表現で僕の中で「芸術」に対する革命的な変化があったわけではないけれど、やはり何かを作って表現してっていうのはたまらなく面白い事だと再認識出来た。犬山のお寺で瑞々しい時間を過ごす事が出来たからだろう。
今の僕の課題はそういう表現をどうやって不特定多数、というかそういうものに興味がない人間に楽しく提供するか、という事だとも思った。考えていかねば、ならないなあ。
犬芸2013、本当に有難う。良い時間を過ごしました。
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