僕には年齢にして8つ程(定かでないのが僕のいい加減な所)離れた兄がいる。社会人になっても学校の体育館を借りてバスケットボールをやっていた兄はスポーツマンと言って良いだろう。兄弟見事に、体育会系と文科系に分かれたわけだ。
兄はもう結婚しており、二児の父親だ。兄の一家は僕の生活する真上、二階を使って生活している。玄関も別にあるので、兄一家とは家の中で繋がってこそいれども、日常的に顔をあわせる事はない。
兄はもともとは営業マンだったのだけれども「スーツを着るのは性に合わない」と今は工業で物凄く太い鉄パイプをブッタ切る仕事をしている。結構な役職に就いているそうで、夜勤も多いけれども趣味に仕事に充実した生活を送っているようだ。
そんな兄がある日突然下の階、つまり父と母と僕が生活する一階に下りてきてこう言った。
「大丸ラーメンに連れて行ってくれ」と。そりゃあそれまでに「大丸というラーメン屋があってブログネタには丁度良いと思うよ」と言っていたけれど(余談だが兄もブログをやっており、連日同じ趣味の人間のコメントでコメント欄は溢れかえっている。文体こそ違えども、趣味の事となると熱くなる辺り、完全に舟橋家の血筋だと思う)、まさか兄がそんな事を言うだなんて思いもしなかったので、驚いた。その場でお互いに都合の良い日を選び、僕と兄は大丸に行く事になったのだった。
で今夜がその夜で、僕はたった今帰宅したところ。
兄と二人で出掛けるだなんて結構久しぶりの事だったし、寒い中相応に行列の出来た大丸に一緒に並ぶだなんて想像もしなかった。普段じっくり話し込む事のあまりない僕達兄弟だが、流石は兄弟というべきかさして違和感もなく普通にくだけた会話をした。そりゃあそうだ、あの人は僕が生まれた瞬間から今の今まで、僕を見ているんだもの。僕という人間を全部知っているだろうし、僕も兄の事は知っているつもりだ。
今回の兄弟揃っての大丸詣でで一つ気になっていたのは、果たして兄弟の味覚は似通っているのか、その点だった。兄はブログを読む限りでは結構色々と食べ歩きをしているようで、そんな兄が是非の完全に分かれる大丸ラーメンをどう評価するか、僕は気になっていた。
果たして兄は、大丸ラーメンを気に入った様子だった。
「麺に関して言えばその辺のラーメン屋より旨い。あと全体的にバランス感覚が絶妙。インターネット上の評価を見ていると『一体どんなラーメンなんだ』と思っていたけれども、想像していたよりも全然喰えた。ただ量が多い。もやしと肉がもう少し少なければ、余裕で喰える」
ああ、ここに一つの結論が出たではないか。兄弟の味覚は似通っているのだ。
兄が大丸を気に入ったのは、弟としては単純に嬉しい。
兄弟水入らずで楽しんだわけだし、実に有意義な大丸詣でだった。
追記:最近大丸に行く度におつかいに行っている気がする。栄誉な事で、嬉しい。
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