この映画は体育館のようなスペースに線が強いてある。そしてそこには「チャックの家」と書いてある。それはそう、丁度建物の間取図か地図を上から眺めた図柄に似ている。
驚くべき事に一つの村での出来事を描いたこの映画での舞台セットはこれだけなのだ。壁もなければ扉もない。あるのは机等の家具と、あとはちょっとした装飾品のみ。
当然建物の壁はないので今会話している人物以外の人間が何をしているか筒抜けなのだ。一見奇妙なこの舞台セット、だがそれがこの映画に於いては全く違和感がない。
むしろ人間の姿をまざまざと描くのが本懐であろう監督にとっては、恐らくこのセットこそが最適にして唯一の方法だったのだろう。
主演はニコール・キッドマン。「アイズ・ワイド・シャット」の頃から美しい女性だとは思っていたが本作における彼女の美しさといったらない。それ故に彼女の境遇に感情移入して観てしまった。これが監督の本意かどうかはわからぬが、もしそこまで狙っていたのだとしたらニコール・キッドマンは恐ろしい女優である。
しかしこの視聴後の後味の悪さといったら何だ。「確かにそう、確かにそうなのだが…!」といった感じ。以前から抱いていた人間の本来の姿への印象をそのままさらけ出された気分。しかも描き方が丹念で丁寧だから展開に違和感を全く感じない。
展開に結末、このどちらにも納得してしまったが故に感じるこの後味の悪さ。
是非観てみて下さい。三時間近い映画ですが、大いに観る価値があるかと。
なにがしさんとトバゴさんが薦めていた理由が理解できた。
あークサクサする。とりあえずニコール・キッドマンは目茶苦茶美人だという所におちつけておこう。
スッキリするために近々「地獄の黙示録」のヘリ部隊のシーンだけ観よう。
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