埃アレルギーである。
部屋が汚い癖に、僕は埃アレルギーなのである。目が痒くなるし、鼻も詰まる。頭がボーっとしてやる気がなくなる。倦怠感。埃アレルギー。
昨夜は特にしなければならない事がなかった。近頃の生活では稀有な瞬間。毎日が暇なよりも、忙しくしている生活の中でのこんな瞬間の方がどれだけ有難いか。
僕は自ら忙しくするようにしているきらいがある。予定が何もない日でも無理やりねじこんでみたり、或いは外出してしまったり。
何をしていいかわからない時間というのは耐えられない。故に用事をねじ込む。
しかし昨夜のあの瞬間、何も『しなければならない事』がない瞬間というのは効果絶大だった。
冷蔵庫を開けると、誰も飲みはしないはずなのに缶チューハイがあった。京極夏彦を読みながら呑んでみたら、呑み慣れないものを呑もうとするから呷る様に呑んでしまった。一気飲みに近い、味わいも間も楽しみもへったくれもない呑み方。
折角の京極夏彦も頭の中に入ってこない。
そうして友達にちょっと電話して、ごみのように散らかった部屋の中から探し物を見つけ出すため、僕は埃まみれになったのだった。しかもクローゼットの中まで調べたのに探し物は見つからなかった。
僕が得たものといえば、自分が埃アレルギーだという再認識くらいだった、結局。
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