モテへの道。

伊藤誠人を迎えてのスタジオ練習後、そのまま5人で呑みに行った。なかなかない機会に財布の紐も緩むというもの。大いに飲み食いし、大いに語らった。
議題は専ら『自分と恋愛の関わりについて』。日々の精神活動を活性化させる恋愛という感情について5人で話をしたわけだが、結論としては『バンドマンはモテるというのは間違いである』というもの。

バンドマンの恐らく何割かは楽器演奏を始める動機として『モテたい』を挙げるのだろうが、もしここを読んでいる貴方が今尚その幻想を抱いているのであれば、同じ野心を抱いた人間、そして野心に敗れた人間として僕の結論に耳を傾けて頂きたい。

宜しいか、バンドをやったからといって貴方がモテる事はありはしない。バンドという他人との共同作業に於いて学ぶ事は多く、それによって何かしら感じた貴方はより魅力的になるかもしれない。それによって貴方に好意を抱く人間は現れるかもしれないが、それはバンドをやっている貴方に惹かれたわけではない。バンド活動を通して人間的に成長した貴方が魅力的なだけなのだ。

偉大なる先人と、そして僕からしてみれば劣等感を刺激するような存在を鑑みても結論は同じだ。バンドをやったからといってモテる事はない。バンドをやっていただけでモテる人間はバンドをやっていなくともモテる。バンドをやって、不特定多数の目に触れられるようになってもモテない人間はモテはしないのだ。

男としての価値をあげるというのは、げに難しい事なのである。

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