5年という年月

某大型掲示板で自称『音楽ディレクター』が自分の身分を伏せて皆の質問に答える、というスレッドがあった。

オリコン5位以内にチャートインしたアルバムを一枚、30位以内にチャートインしたアルバムを3枚ここ数年で制作した(クリエイターとしての制作、ではなく、企画から宣伝等々のマネージメント面だったそう)28歳のその音楽ディレクター、発言が真に迫っていたのでどうやらこれは本当に音楽業界の人間ではないかと判断、興味深くスレッドの流れを閲覧していた。

彼が言うには「バンドが商業的に成功を収める、『売れる』ためには5年間は活動するのが最低条件だと思う」と。

この5年、というのが妙にリアリティのある年月で思わず「ほう」という言葉が漏れた。

よくよく思い返してみれば身の回りの先達、同年代で所謂『売れた』バンドは5年間程の活動を経て現在の位置にいるのだと気づく。勿論旬の音楽(ああ、こういう表現しか思いつかなかったけどこういう表現は物凄く抵抗があるなあ)を自然と演奏していて、そういう市場(こういう内容のエントリーに於いては、こういう単語を使えば使う程に胡散臭くなるのは自覚している)のニーズに合致してとんとん拍子で話が進んだ実例はあるにせよ、この5年という数字は如何ともしがたいリアリティを伴って僕の認識に飛び込んできたのだよ。

今現在メインで活動している不完全密室殺人というバンドがあるけれど、今年の7月でライブ活動を開始して満3年になる。体感上はもっと長い年月活動しているように感じるが、実際カウントしてみると3年『しか』(『しか』という年月なのだ。体感と比較すると)活動していなかった事に驚かされる。この3年間、色々な事があったけれども月日を経る度に興味深い、そしてバンドの事を思いやって、誠実に接して下さる『発信者』側にいらっしゃるであろう人間との出会いが増えていく事が思い知らされる。

バンドのインディーズ活動というのは、バンドが一丸となって死力を決して音楽活動をやっているという大前提さえクリアすればあとは出会いと誠意が織りなすものだと考えているのだけれども、なるほど、確かに1年2年ではそういった出会いが発生しないのも無理はない。

地道な活動と出会いが、そういったバンドに感情移入する人間との出会いを生むのであれば自称『音楽ディレクター』が言った「5年」という数字はこの上なくリアルな数字ではないだろうか。我々が活動開始から5年経った頃、つまり2年後売れている自信があるとかそういう話ではない。これはバンドマンが考えるべきバンドの運営、活動に関する一つの目安となる話であろう。

実に興味深い話であったし、そして我々が出会った人々への感謝の念を新たにするには良い機会であったと思う。

今、そんな『出会い』から起因する面白い話が水面下で進行中です。

秋口には何かしらの報告ができると思うのでお楽しみに。

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