はじめての○○○。

19日、午前9時57分。

僕は携帯電話を握り締め、高鳴る胸、そしてそれが指し示す緊張に気付かないふりをしながら予約を取り付けた。

午前10時15分。

目的地を発見。

午前10時20分。

ソファに座って自分の住所諸々、記入していく。「俺は落ち着いているんだぞ」というていを装う。

午前10時25分。

首にタオルがかけられる。

午前10時35分。

この瞬間がずっと続けばいいのに、とも思う。至福。

午前10時40分。

濡れた髪の毛のまま、担当嬢に会う。ともすれば僕より若い、ローファイなテンションの、しかし気さくな女性である。

煮え切らない僕の注文では埒が明かず、二人で雑誌を眺め、「とりあえずこれを目指しましょうかね」というポイントを浮き彫りにする。この辺りの進行も担当嬢、流石である。

午前11時10分。

カット、洗髪終了。カット時の会話内容を少し抜粋。

「こういうマッシュがお好きなんですか」

(マッシュ・・・?)「や、友達に毎回切ってもらってまして」

「なるほど。お友達、うまいですねえ」

「そうっすかね」

「で、美容院行ってみようかなあって」

「ええ、たまには。半年以上お金を払って髪の毛切ってないです」

「じゃあ久しぶりですね」

「ちょっとした贅沢ですね。自分にお金かけたくないので。あ、美容院でこんな事言っちゃいけないか」

「じゃあ初めてですか」

「そうですね。ずっと行ってた所、美容院だと思っていたら実は床屋だったんですよ」

こんな感じ。

午前11時20分。

お店を後にする。

そう、今日は人生初の美容院体験だったのだ。

コメント

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    はぁ~ん。ウヒョヒョヒョ(笑)

    俺は美容院初めて行った時、めっちゃ腋汗かいた…

    それまでヤ〇ザにしか見えないオッサンがやってる「セブンスター」って店名の床屋で切ってて、毎回切る度にガッチリリーゼントみたいにされちゃうのね(笑)

    それがさ~、綺麗なネ~チャンが何だか胸押し当て気味で切ってくれたりしたらさ~、少しくらい高くったって行っちゃうよね!

  2. フナハシ より:

    SECRET: 0
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    >ピコ・ピコリンさん
    そう、まさしくそんなロマンを感じました。
    美容院にはロマンが沢山!