不完全密室殺人、解散のおしらせ

不完全密室殺人です。
この度の発表をもちまして不完全密室殺人は解散致します。
現状これ以降のバンドとしてのクリエイティヴな活動が存続不可能な事がその理由です。
解散公演やそれに類する何かを行う予定はありません。
事後報告になってしまいましたが、長年に亘るご愛顧、本当に有難うございました。

不完全密室殺人
山田康裕
各務鉄平
舟橋孝裕
神田佑介

 

少なからず待っていてくれる人達や、未だに素敵な催し事にお誘い頂ける方々がいらっしゃるだけに久しぶりのバンドからのアナウンスが解散宣言になってしまい、本当にこればっかりは申し訳なく思います。
2012年9月8日、メンバー全員(福井在住の山田君はオンラインビデオ通話にて参加)で話し合いをする機会を持ちました。久しぶりの4人全員でのバンド会議はお互いの近況報告から始まりました。

山田君は福井の実家にて療養中。真面目で誠実でセンシティヴな彼はどうにか自分の体と折り合いをつけてやっていこうとしています。
各務君は、彼は出会った頃から変わらぬ独特の、しかし実に誠実でバンドメンバーの事をも慮ったアーティスティックな誠実さを伴ってバンドについて考えていました。
神田君は一家の大黒柱として毎日頑張っており、その幸せな様というのは全身から滲み出るようでさえありました。今回一番胸が熱くなったのはそんな一番忙しいはずの神田君がこのバンドについての情熱を失っていなかった事です。
僕は、まあ、ここに書き付けているような日々を送っています。

あまりにも状況が違う中で、それでもやろうと思えばバンドを動かす事は不可能ではなかったのかもしれませんが、それでも例えば「○月○日にライブをするのでそれに向けて練習をしよう!」と集まって練習する事は状況的に難しかったし、かといって一度や二度の練習で間に合わせ的に「やっている事に意味がある」という発想の下に昨日の話し合いで使われた言葉をそのまま用いるならば「同窓会的な」ライブをするのはこのバンドでは相応しくない、と全員が考えていました。
メンバー全員がやるからにはしっかりした不完全密室殺人を、かつてのクリエイティビティーを取り戻し、万全の状態で、力強く音楽を演奏する事を望みました。4人が4人とも、この4人でやり得る、出来る音楽の、表現のポテンシャルは確信していました。
ここ数年の我々というのは、思えばそんな時期がやってくるのをお互いに探りながら、鼓舞しながら待っていたような状況でした。友人として連絡を取り合いながら、お互いの生活があった上でのこのバンドに対するモチベーションを探り合ったり、そしてまだその時ではないと判断して各々の生活に戻ったり、タイミングが合致すればライブを行い、それぞれがその日の演奏に対する感慨を持ち帰ってバンドについて考える。
不完全密室殺人がその活動をマイペースなものにして以降、そしてメンバーの生活環境が今のような状況になって以降、今回の解散という結論を出すのに長い時間がかかったようにも思いますが、逆にこれだけの時期を経なければ今回の結論を出すに至れなかった、というのが僕の本音であります。

これをここに書くのは所謂フェアかどうかはわかりませんが「お互いに(バンドを)やれるようになって、その時にまたやりたくなったら(4人で)自然と集まるさ」というやりとりにも象徴されるように、この4人で何かをやる、という可能性を断絶したものではない事を記しておきたいと思います。バンドに関わる関係者各位、そしてライブに起こし頂いた、演奏をするとなったら起こし頂け得る皆さんに期待も失望もさせず、完全に4人きりで、4人のモチベーション本位で動く時は動けるようにするための決断、という側面も解散という決断の中には含まれています。

2006年より活動を開始した不完全密室殺人は実に多くの方に、そしてバンドにお世話になりました。
裏切った、だなんて僕には言えませんし思っていません。しかしバンドとしての最後の能動的かつ前向きな活動が「解散報告」になってしまった事に申し訳なさと、そして一抹の寂しさを感じています。
「再開したらすぐに連絡して下さい、誘いますから!」と言って下さるイベンターの皆様、共演を約束した宿敵達、そして「ライブやる時は必ず行きますから!」と情熱的な眼差しで仰って下さった皆様。
本当に有難うございました。

そして不完全密室殺人を面白がって下さった皆様、改めて僕は今後の活動を行う際にこのバンド以上に面白い事をやるつもりでいます。不完全密室殺人での活動は良い経験であり、良い指標であり、そして打ち負かさねばならない過去であります。

ライブハウスでお会いしましょう。

コメント