特定非営利活動法人愛知人形劇センターの方からご連絡を頂いたのは数ヶ月前の事だった。
この度、過去に行ってきた人形劇のお祭り「ひまわりホールパペットフェスティバル」を演目を人形劇に限らずアート全体に広げる事に伴い今年から「子どもアートフェスティバル」に改める、つきましては音楽部門でご参加頂けないだろうか、との事。
「大変有難いお誘いですしモチベーションは十二分にあります。ただ一つ気になる点がありまして」
これだけはしっかりと確認しておかねばなるまい。
『はい、何でしょう?』
「”子ども”アートフェスティバル、なんですよね?」
『はい』
「子ども向けの音楽作品、という事で」
『そうです』
「大変申し上げにくいのですが、僕の参加する、してきた音楽は果たして子ども向けのものかと言われるといささか...」
『ええ、そうですね...』
「ふっふっふ」
『はははは』
「ええ、どうにかしたいと思います。やりたいです」
『宜しくお願いします』
こんな面白い機会を逃す僕ではない。断る理由はなかった。
話を伺うと対象年齢は随分と小さいお子様も視野に入れているとの事。演奏を披露して欲しい、との事だけれどももし僕が小さい子どもだった場合、大人の演奏をずっと大人しく聴いていろと言われて楽しいかと言われたら疑問である。
というわけで舟橋考えた。無い知恵、無い経験絞って考えた。折角だもん、最高に楽しませたい。
そしてアイディアは唐突に落ちてきた。そうだ、僕の好きな段ボールを使ってギターを作ろう!参加型のワークショップだ、これならきっと子どもも楽しい!
舟橋は調べた、(それなりに)頑張って調べた。作り方はわかった、だがそんな簡単に作れるのか?
ホームセンターへ行き、何となく目星をつけて材料を購入、自宅へ持ち帰って試作をする。時間がかかったが、出来た。
でもこれ、絶対45分(僕が頂いた時間は45分だ)では出来ないな...というわけで思索に試作を重ね、ワークとしては段ボールの加工に特化したものにする事にした。
ネックの部分はやっぱり楽器だもん、大切な部分だしこちらで作って持って行く事にした。その数、14本。
僕を含めて今回のチーム3人でワークショップを運営するにしても、恐らく14人が限界だろうと思われた。
いざ準備を初めてから当日はあっという間にやってきた。
10日の前日から会場入りをし、運営の皆さんと一緒に設営をする。この日からもう楽しい。やっぱりこういう催し事は作っている人達の顔を知りながらやった方が圧倒的に楽しいし、気持ちの部分でも楽になる。ああ、この人達が自分達のために動いてくれるなら大丈夫、自分は演目の、参加者の事だけ考えよう、となれるわけである。
だけれども、やっぱり不安は不安だよ。
「どれくらいの子ども達が来てくれるかな」とか考えちゃうわけである。結論、杞憂に終わった。
開場時間の随分と前から並んで頂き、参加人数上限の14人にはあっという間に達した。運営の皆さんが受付で掲げて下さる「満席」の二文字に、申し訳なさと有難さを再認識。
開場してからはもっとあっという間だった。
ちょっと早めに初めて大正解であった、子ども達、大盛り上がりで僕も夢中になって一緒にはしゃいだ。
それにしても子どもは凄い。想像力は無限大だし、自分でどんどん改良を加える。「これをやってね」「あれをやってね」なんて言わなくても自分でやりたいようにやり、それが非常に美しい形で結実する。それを間近で見ながら本番までの心配が全て杞憂であった事、そして想像以上の「気付き」を僕自身が得ている事に気が付いた。
未就学児から小学校高学年、そして大人の方もご参加頂いて総勢14名、14本の段ボールギターが誕生したわけなんだけれども、どれとして同じ物は一本もなく、全てが個性的で素晴らしいものだった。
僕はね、決して少なくはない人達の前で演奏してきて、沢山の素晴らしい光景を目にしてきた。それは紛れもない僕の宝の一つだ。
だけれどもまさかあんな小さい子ども達に自分が思案し、準備し、いざ本番を迎えた時間が喜んで受け入れられるだなんて思ってもみなかったよ。こういう活動は初めてだったけれども、是非またやりたいと思った。
ご参加頂いた皆様、関係者各位、協力者の皆様、本当に有難うございました。素敵な時間を頂きました。
同じ時間帯が公演時間だったため、お互いの作品を観る事はかなわなかったけれども、同時間帯の他作品のファシリテーターのお二方と。
左:【exit】堀江さん 右:孤独部 かしやま君
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