EarthQuakerDevices Tone Job賛歌。

まだ仕事こそ納めていないけれどようやく『年末感』を肌で感じるようになってきた。いや、遅いだろ。
娘のクリスマスプレゼントはクリスマスの朝、寝ぼけ眼の彼女に「あれー!?これ、なんだろう!?」と白々しい小芝居をしつつ声をかけ、寝起きの彼女が一気にテンション上がる様をまざまざと見て「ああ、何よりこれは親が嬉しい奴だな」としみじみした。プレゼントの値段以上の感動がある。人生初のサンタ計画は成功と言えるだろう。
で、年末である。
今年一年の振り返りとかもしたいのだけれども、ひとまず暫定『今年購入して良かった機材』一位について記録を書いておかねばなるまい。

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EarthQuakerDevices Tone Jobである。
パラメトリックイコライザーであるが、実際使ってみるとその言葉以上の効果がある。
方々で「これいいよ」とか「ベーシストにうってつけ」とか絶賛の言葉を耳にし、その度に「いやいやEQでしょ?何がそんなに良いのか」と思っていたのだけども、これは完全に僕の完敗である。導入してそんなに日数も経たないが、今後の演奏に於いてマストアイテムになる事確定。

まずそもそも音質補正のためのEQを買おうと思ったきっかけは何だったか。
2020年という年を一言で表すのならばまさに『コロナ禍』だったのだろうけれども、そんなこのコロナ禍の中で進めてきた自分自身のベーシックな(これはバンドアンサンブルに於けるスタンダードなエレクトリック・ベースギターとしての、という意味である)音作りの見直しの中で、ハイミッドとローミッドはやはり重要項目であると再認識したのであった。具体的にはSANSAMP BASS DRIVER D.I v2のミドル周波数の設定、僕はここ最近(1年以上だろうか)ずっと500hzに設定しており以前と比べても全体的に重心を下げた音作りを志していた。
やっぱりベッキベキの音で弾き倒すのも楽しいけれども、厚みのある低音はドスが効いてて気持ちが良いしアンサンブル中でも他の楽器の音を受け止める度量がある。重心を意識し過ぎるがためにローを出し過ぎてボワついたりステージ中で制御が難しくなったりと試行錯誤してきたけれども、どうにか「ロー感はこれくらいだな」というところに落ち着いてきたのだが、そうなってくると今度はアタック感が不足しているように感じた。さてv2のミドルを1000hzにするとローミッドが一気に物足りなくなる。ではトレブルを上げてみるか、と高域のバランスを取りつつトレブルを突っ込んでみるとピッキングした際のアタック感が気持ち良くはなったものの、どうにもピーキー気味というかバランス感の部分で危うい感覚があった。

汎用性を僕は好む。
気に入った音はいつでもどこでもどんな瞬間、どんなバンドでもそれだけで演奏出来るのが理想だ。柔軟さ、と自分自身の基準がないのは違う。楽器の音は自分自身の声そのものだ。僕はやはり自分の声で演奏に臨みたい。
となると環境によって左右されかねない危うさは見過ごせない。むしろ環境によって順応出来る調整の幅が欲しい、と考えたところで脳裏をよぎったのがTone Jobであった。
EarthQuakerDevicesの国内顔役、ベーシストの中尾憲太郎氏は僕が学生時代からのヒーローであるが、氏もペダルボードの出口にTone Jobを配置している。サンズアンプのみならずそこも似てしまうのか、コンプレッサーも同じものを使ってしまっているのに!?とそれこそ足下が氏の物真似になっている事に若干の心理的抵抗を感じていた(これはひとえに僕の糞みてえなプライドである。誰かの影響を受けながらもオリジナルでありたい、という欲求ね)わけなのだがここまで物真似になったらもうコスプレじゃねえのか、という思いを抱きつつ、お世話になっている楽器店店員氏に連絡。その折は在庫がなかったのが入荷次第連絡を貰えるという事で数日後、実際に楽器店でTone Jobを触ってみる事に。

っていうか触ってしまったらもう買ってしまうまでは決断早かったですよ、滅茶苦茶良かったもん。
ボリュームは10時でユニティゲイン、トレブル、ミドル、ベースは12時でフラット(嬉しい事に12時でクリック感がある)。トレブルは2khzあたり、ミドルは1khzあたり、ベースは500hz以下に効きそれぞれが相互に作用しあう仕組み。ブーストもカットも十分出来る。Tone Jobの何が凄いってブーストしたりカットしたりしても不自然じゃないのね。効き方が自然っていうと不自然なEQって何さって事になるのだけど、元の音、楽器そのものの音をそのまま色付けせずに自然に持ち上げたり差し引いたりしてくれるし、持ち上がり方が絶妙なのかどれだけブーストしても音が破綻しない。僕の使い方はトレブルとベースはフラット、ミドルは3時くらいまで思い切りブーストしてピックアタックをガンガンに足す、みたいな使い方をしているのだけど持ち上がり方が自然過ぎて踏んだ前後で音が「前後に動いた」ような感覚になる。アタック感がアンサンブルの中のどの位置にいるかによって、音の前後の位置関係がこんなに変わるのかってくらい変わって笑ってしまった。ミドルをブーストして前に出てくるアタック感も、元から自分の音の中にあるアタック感がそのまま前に出てくるような感覚なのである。
接続位置はプリアンプ、つまりサンズアンプの直前。色々試した結果、信号の最後の方に繋ぐ事で歪み系への良い補正になる事もわかったので。

今のところ9V稼働させているけれど、18V駆動も試してみたいなあ。
本当に、滅茶苦茶良い、これは。

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