某月某日、メル〇リで定期的に検索をかけるようにしている検索ワード『ベース ファズ』で興味をそそられる一品に出会った。
Noah’s ark Custom Shop Chim Fuzzである。
ORANGE RANGEのベーシストであるYOH氏のシグネイチャーファズであるとの事だが、申し訳ない、同バンドにはさして思い入れがあるわけではない。今回「おっ」と思ったきっかけはぶっちゃけその価格であった。何なら会社の飲み会×2回分で購入出来てしまう程のお手頃価格での出品は妥当なのか、それとも安価だったのか定かではないが、僕が「へえ、そんなに安くて良いの」と商品ページを閲覧しに行くには十分なインパクトを伴った。
で、滅茶苦茶関心があったわけではなかったにも関わらずコントロール系統を見てみると「結構面白いんじゃないのこれ」と思ったわけだ。妻に相談したところ「ゴー!」と購入の許可を貰えたのですぐさま購入。
で、触ってみたところ、これが面白いんだ。というか、非常に良いかもしれない。
まずはコントロール。上段左からGain、Boost、Color、Volume,、下段に移ってLow、Row、Cutとなる。それぞれ
Gain=ファズの歪み量
Boost=ファズのブースト量
Color=ファズでどの帯域を中心に歪ませるか
Volume=全体の音量
Low=全体の低域の調整
Row=フィルターを通したドライシグナルの低域ミックス
Cut=全体の高域調整
となる。
Rowは印象的にローミッド~ロー辺りをファズシグナルに混ぜる事が出来る。この混ざり具合が絶妙。ファズにドライシグナルを混ぜるのはファズ狂いからは怒られるかもしれないけれども僕は結構好きで、けれどもドライシグナルそのままを混ぜるとドライシグナルとファズシグナルが分離して聴こえるようになってしまう事も結構ある。故にローパスフィルターを通したドライシグナルを混ぜるというのは有効な手段だと思うのだけど(同様の発想をしてブレンダーを開発して貰った事もある)、このChim Fuzzの場合その混ぜ込むドライシグナルの帯域設定が絶妙で良い。「本当に混ざってる?」と言いたくなるくらい存在感が薄いわけでもないし(超低域過ぎるとその恩恵を感じにくかったりするもので)、ファズとの混ぜ具合を苦心する程主張してくるハイミッドが混ざっているわけでもない。Rowの設定が絶妙だもんだから遠慮なくドライの低域成分を混ぜる事が出来ますなあ。
GainとBoostは最初こそその違いに戸惑ったけれども、Gainは上げていくとブジャブジャしたファズ感がどんどん出てくるまあ本当にゲインって感じのコントロールで、Boostはそのファズの音をどれだけ前にせり出させるか、という効き具合。Colorは単純なトーンではなく高域を中心に歪ませれば攻撃的なファズになるし左の方に回していくとアンプで歪んじゃったよ、的な音まで作る事が出来る。
Rowを混ぜ込んだ後に最終調整でLowとCutで音を整える事が出来るのも嬉しい。最終的にこの高域と低域のコントロールで狙い通りの音を作る事が出来る。
「どの帯域を中心に」「どれだけ歪ませて」「どれだけ押し出して」「そこに原音の低域をどれだけ混ぜ込むか」最終的に「高域と」「低域の」調整をして「音量を決めて」音を出す。それぞれのコントロールが実によく練られていると感じたし、相互の作用の仕方も実に有機的だ。
ちゃんと意図を持って狙って音作り出来るならばこれは痒いところに手が届く。
そういうファズである。