ルーパー音痴によるtc electronic DITTO LOOPER備忘録。

実は、複数名の会社の上司が僕のSNSアカウントをフォロー中である。
僕は趣味がバンド活動である事や、主に私生活と趣味の発信をするSNSをやっている事を会社で全く隠していない(朝礼でReverb.comで海外からエフェクターを買い付けた話をしたりもした。結構盛り上がった)。そもそも見られてまずい事なら本名で活動なんてしない。というわけで特段上司にSNSをフォローされても困りはしない(ばかりか何の気なしに発信した家庭のよもやまを見かけた上司が気を回して下さったり結構、良い感じに作用している気さえする)のだが、時折会社で「舟橋君が深夜によく触ってるあの機械?あれ何だい」とか「舟橋君、最近も深夜にツマミの位置、ミリ単位で楽しんでるね」とか声をかけて頂くと、会社と1.5畳の自部屋が突然地続きの存在になり、ビックリする。
ちなみにミリ単位で音の変化を楽しむ、は時々あるけれどもそう頻繁にある事ではない。


『音の変化を楽しむ』という用途のペダルではないが、購入当時に想定していたよりも遥かに重宝しているのがこれ、tc electronic DITTO LOOPERである。
ルーパーというのはエフェクト=音に変化を加えるものというよりかは楽器に近しい属性なのかもしれないな、と思う。
特に物凄く熱心なファンというわけではないけれども、たまたまライブの動画を観かけたAiming for Enrikeというノルウェーのバンドは、ギターとドラムの2人のバンドなんだけれどもルーパーを楽器のように使う事で音の重なり方のみならずバンドの筋力の部分も最早2人のそれではない。すっげえな、と思うと同時に「これが出来るようになるにはどれだけの鍛錬とどれだけのセンスが必要なのだ」と唖然とした。

自分の演奏を一定の区間で繰り返し続ける。そしてそこに音を重ねていく事が出来る。
ルーパーというのは簡単にいってしまえばそういうものなのだろうけれども、機能を説明する程、うまく扱う事は簡単ではないと感じる。リズム的に『ちゃんとしている』(この場合は一定の周期で演奏を捉える事が出来る、といおうか)事は勿論、操作に習熟度が求められるし、何より繰り返した自分の演奏に何を重ねていくか想定、或いは瞬時に判断して演奏していく必要がある。
ハイ踏んだ!ハイ歪んだ!ドカーーーン!!ではないのだ。
であるからして、僕みたいな低能がルーパーを扱う用途はこれまで主に2つ。
『音作りの助けとして』と『偶発的な事故を起こす別の演奏者として』である。

まず前者。
これはシンプル。エフェクターの音作りの際に自分の演奏をループさせてそれをエフェクターに流し込み、音作りをする。弾く、ツマミを動かす、弾く、ツマミを動かす、というサイクルはシンプル極まりないがこの繰り返しの中に相互作用がある事は否定出来ない。弾いて耳にした音色がその次の『弾く』に影響を与える=無意識に影響を受けるという相互作用である。
ルーパーならばレベルをユニティゲインに保つ事さえ注意すれば冷酷無比に数秒前に自分の演奏を一定の入力レベルで繰り返してくれる。両手も空くというオマケ付。

そして後者。
アンビエントっぽい即興演奏をする機会が一頃あったけれども、そういう時にルーパーを足元に繋いでおくと大変に便利だ。
演奏に夢中になったりしているとどこからどこまでループさせるか、みたいなところまで注意力がいかなくなる。あ、これは僕みたいなルーパーに向いてない演奏者に限った話ね。そうなってくると「しまったーここでループしたか」とか「あれ、何だこれ」みたいな自分が意識していなかった、意図していなかった変なループになっている事がままあって、それが面白かったりするのである。そういう事故って自分一人で弾いている分に関してはあまり起こらないので、自分の内で自分を裏切るために自分の能力の無さとルーパーの多機能さを掛け合わせて事故が起こるように仕向けるのである。そうなるとそれは最早事故ではない。物凄くダサい演奏になる事もあれば奇跡のような瞬間が起こったりもする。

さて、DITTO LOOPERであるが、ここまで散々書いてきてナンだけれども僕みたいなルーパー音痴には十分過ぎるルーパーだ。
フットスイッチとloop lebelコントロールだけでよくぞここまで色々な操作が出来るようにしたものである。
DITTO LOOPERはフットスイッチの踏むタイミング、そして踏み方でルーパーに求められる様々な機能を実現している。
書いていくよりも公式の取扱説明書に大変わかりやすい図があった。


いや凄いよこれ。
必要な機能は十分あるのではないか。Line6 DL-4にあるワンショット再生とか1/2倍速再生とか、あの変態的な機能も大変愛おしかったけれどもDITTO LOOPERの極小サイズの筐体にそれを求めるのはそもそもお門違いというものだ。
あ、筐体が小さ過ぎてボードに固定する時はしっかり固定しないと演奏中に『事故』が起こる可能性がある。
真面目にストイックにルーパーとして使いたい向きは要注意だ。