冬の夜長の「機材棚にしまい込まれてただのコレクションになってしまっている」ペダルを弾いて備忘録を書きつけるシリーズ。
特に使う機会、予定がないペダルを手放すわけでもなく棚にしまい込んでいるのは何故かと言われるとそれはもう単純に、好きだからである。
入力と出力があって、その間で音が変わるという類のものなら何にだって自分のベースギターを繋いで音がどう変わるのかを試してみたい。ツマミがあるなら回してどのように音に作用するのか知りたい。
しかし僕は博識ではない。ペダルの裏蓋を開けて「お、こんな部品を使っているのか」とか、全くわからない。
多分それは『ペダル』自体というよりも「どこかの誰かが手を動かして知恵を絞りそのセンスを炸裂させて組み上げたプロダクト」「そしてそれを使うとどのように音が変化するのか」に興味があるのだからだと思う。
エフェクター、エフェクト・ペダル、ペダル等呼び方は様々だけれども、そういったものを好きになって結構な年月が経つにも関わらず知識は増えないのに経験値だけ増えていくのはそういった理由に依る。
いきなり話が迷走した。しかしそういう「中身に興味が向かない」話は今日弾くペダルと関係がないわけではない。
今日弾くのは『どこかの誰かが作ったビッグマフのコピー』。
機材棚の中で眠っていたこれ、ラベルは『1978 OP-MUFF』と読める。
ビッグマフについて知識が深いわけではない僕でも、これが1978年頃に出回っていたオペアンプ・マフのクローンを意図して作られたものなのだという事くらいは理解出来る。
友人がオークションで見ず知らずのどこかの誰かが組んだこのペダルを手頃な価格で手に入れ、更にその友人が「もう音楽を辞めるので」と言って相当数の機材を僕に託してくれた中にこれがあった。
「増幅素子として他のマフで使われているようなトランジスタではなくオペアンプを使われているのが所謂オペアンプ・マフである」程度の知識しかない上に、裏蓋を開けて内部基盤を見たところででは本当にオペアンプを使っているのか、そもそもビッグ・マフを模した回路になっているか僕には判断がつかない。
もうこれはペダルを弾いてその感想自体しか頼りになるものがない。
弾いてみた感想としては「成程、確かにビッグマフ」。
しかもこれまで弾いたビッグマフ系統と比較するならば、ベースギターで使うにあたってかなり良い手応えである。
TONEコントロールは動かすと動かした分だけ音が変化する素直な効き方。12時より少し左寄りにすればベースギターの低域をしっかり出力しながらにしてファズ特有の毛羽立ち感も奥まってしまう事はない。
ベースギターにはロシア製のビッグマフが良いというのはよく聞く(実際僕も緑色のロシア製や冷戦時代のロシア製にインスパイアされたペダルを良く使っている)のだが、それ以外にもこうしてベースギターでも扱いやすいビッグマフはあるんだなと思わされた。
問題は何が原因なのかわからないけれども、音が途切れ途切れになるという事。
弾いていると音がポツンと消えるか小さくなってしまう症状がスイッチのオン/オフをする都度、高頻度で発現する。。
ペダルをブッ叩くなり衝撃を与えると音が出るようになるのだが、いやいや昭和の家電じゃあるまいし。
折角自宅に半田ゴテもあるし、これ、自分で音に異常がないように手を加えられないもんかなと思案する舟橋孝裕、40歳の冬の夜なのであった。