日東科学版ハインリッヒを作る 第3回 キャノピー加工→鋳造表現

前回まで
日東科学版ハインリッヒを作る 第1回 座学→洗浄→組み始める
日東科学版ハインリッヒを作る 第2回 削ったり強引に接着したりしながら組む

ある日の職場での朝礼での一幕。
「私は20年近くになりますでしょうか、音楽活動を趣味で続けてきましたがバンドでの演奏というのはいわば瞬間的な表現、その時その瞬間に何をどう感じてどうアウトプットするのか、どうアンサンブルするのかという瞬間芸術な側面が強いと感じています。
しかし私も今後の人生を生きていく上で、またお仕事させて頂く上でじっくり腰を据えて物事に取り組むという習慣を身に着けたいと思いまして、その感性、そういった習慣を養うという意味でも新しい表現活動、趣味を始めました。模型製作です」
ヤスリや黒い接着剤を使って半ば強引にでもキットを自分好みに仕上げていくという行為は、模型製作を始めた当初に抱いていた『キッチリ丁寧に落ち着いて腰を据えて作業していく』という模型製作に対するイメージに反するとまではいかずとも、異なるものである。
生来の性格が出てきてしまったねえ。


キャノピー部分の製作である。
先人達の作例で見た『キャノピーが塗装された状態のP.K.A』が格好良いなと思った。
設定上でも『弱点剥き出しかつ、対空から丸見え状態になるのを防ぐためにキャノピーを塗装した機体も存在した』的な記述を見た(実際に塗装例でもそういう実例が挙げられている)ので「これは人様の作例の丸パクリではない」と自分に言い聞かせながらキャノピーを塗装する事に決めた。
メインカメラ部分でパイロットは周囲の状況を視認するのだろうけれども、それでもキャノピー部分にスリットは入るだろうと思ったのでマスキングテープで一部マスキング。


その上で、内側になる側を黒系統の塗料で塗り潰す。
これはきっと、外から塗るだけでは光を通すからなのだろうな。
こうしておくと良いよ、はそのほとんどが先人モデラー達の教えである。
つくづく、インターネットの恩恵にあやかっていると感じる。


肩アーマーを接着して足の裏には真鍮線を仕込み、パーツの合わせ目で明らかに隙間が空いている部分は黒い接着剤で埋めるように接着する。
今回はキャノピーも閉じた状態で固定しようと思っているので中に搭乗するパイロットやキャノピーの開閉機構は製作せず。
「こう作ろう」が見えていると割愛出来る作業も同時に見えてくるのだな。


前回の製作でいざ手をつけてみたものの、そこまで効果が出なかった鋳造表現に再度挑戦する事にする。
鋳造表現とは、液状にした金属を型に流し込んで構造物を作る際に出来る表面のざらつきの事なのだが、前回はどうにも控え目にやり過ぎたせいで効果が薄口だったようなので今回はもっと大胆にいこう、と心に決めていた。
タミヤのベーシックパテをうすめ液で薄め、ある程度乾いた状態で筆でポンポンとキットの表面を叩くようにしていくと良い感じに金属っぽいザラつきが出てくる。


それでもひょっとすると控え目なのでは、という懸念は消えない。
「鋳造表現は指で行うのが楽しい」とインターネット上で目にしたので、タミヤのベーシックパテをチューブからそのまま指にとり、機体に薄く塗りたくっていく。

お、何だか良い感じにザラついてきたのではなかろうか。
指先のパテも塗ったり薄く伸ばしたりしていく中で少しずつ乾いてガサガサになってくる。
そこで頑張って塗りたくるとまた違った味わいが出てきて良い。


この日はここまで。