娘(長女)とアイスクリーム屋さんになれるお菓子に興じた金曜の夜

金曜の夜というのは何度経験したって良いものだ。
特に土日休みの現職に就いてからというもの、金曜の夜なんてもう連休の始まり、片足突っ込んだようなもの。
何なら土曜日日曜日よりも金曜日が好きかもしれないという程に、お休みの始まり=金曜日を僕は愛している。
何故金曜日、特に金曜日の夜にここまでテンションが上がるのか。
仕事大好き人間であるので週末の間、仕事の事を頭の中から放り出すだなんて勿体なくて出来やしないし、家族と過ごすわけだからそこは自分の判断だけで好き勝手出来る自由時間が週末の間に広がっているわけでは勿論ない(=そしてそれが全く苦痛ではないのだと自覚した時に僕は自分で思っている程、家族向きでないというわけでもないんだなと認識した)のだけれども、単純に体力の続く限り夜更かし出来ちゃったりちょっと遠出出来得る時間があるかもしれないという事実が僕をワクワクさせてくれるのである。
金曜日夜、いいじゃあないか。
この日は仕事後、妻がお友達と会食があるというので娘(長女、次女)達と僕とで家で金曜日夜をゆっくり過ごす事になっていた。
夕食を食べてボーッと過ごして、さあ風呂でも入ろうかという頃合いであった。
どうにも、娘(長女)が浮かない顔である。
ひょっとすると学校で何かあったのか、気になって訊いてみたところ
「いつもはいやなこととおなじくらい、よいこともあるのだけれどきょうはよいことがすくなかったのできぶんがしずんでいる」との事。
この自分の心境を精緻に伝えようとしてくれるあたり、娘(長女)の真面目な人柄が感じられてほっこりしてしまう。
しかし気分が沈んでいるのはよろしくない。折角の金曜夜だし、時間的にも気持ち的にも余裕があったので、では娘(長女)の気分が盛り上がるような事をしようじゃあないかと思案した。


娘(長女)のお菓子ストックボックスに『アイスクリーム屋さん』のお菓子があった。
粉と水を混ぜて練り、アイスの形に成形してアイスクリーム屋さん風の遊びをしながら(結構化学的な)アイス味のお菓子が出来上がるアレである。娘(長女)は割とあの系統のお菓子が好きで、何かと軽量カップに水を入れてはキットの中の軽量カップに水を注いで、粉と練って机の上を適度に汚しつつ、ケミカルなお菓子を楽しんでいる。ああいうお菓子を嫌いな子どもはいないんじゃないかしら。僕もやった記憶があるしね。
娘(長女)にそれを提案すると「それならきぶんがもりあがりそう」と言う。ではやらない手はなかった。娘(次女)にはベビーベッドでくつろいで貰いつつ、早速軽量カップに水を注いで準備をする。
説明書を見ながら主に僕が水を注ぎ、娘(長女)が粉を練った。練る方が楽しそうだしちょっと羨ましかったけれども主役は娘(長女)。おいしいところを奪ってはいけないのは明らかであった。


同梱のプラスチックスプーンで粉を練っていると気が紛れたのか、娘(長女)の表情も明るくなった。
やはり手を動かすのは良いのかもしれない。無心に動かすという程、それぞれの工程が長いわけでもなかったけれども誰かと協力してお菓子を調合するのは娘(長女)にとって楽しい行為なのである。


バニラ、ラムネ、あといちごだったかな、それぞれの風味のアイスは味見させて貰ったけれども結構しっかりとそれぞれの味がしており、トッピングでいちごゼリーやらバナナの刻んだのを粉と水で再現したものもちゃんとそれらしい味がするのであった。
凄いな今時のお菓子!
僕が水にコーラの味の粉を入れて楽しんでいたのと同じジャンルのお菓子だと思うのだけれども、滅茶苦茶進化してるなと思った。何ならこのシリーズ、確か電子レンジを使うものもあった気がする。
やはり手を動かす事は幾つになっても快感、なのだろう。
ちなみに娘(長女)、作ったら満足したのか適度に食べた後に「あじみさせてあげる!」と残りを僕の口に放り込み続けるのであった。滅茶苦茶ケミカルな味がしたぞ、大量に食べるにしては甘過ぎるんじゃあないのかい。
少し、自分の味覚が大人のそれになったような気がして寂しい気持ちになった。