前回まで
■青島文化教材社 ゴジラ(2023)を作る 第1回 組み上げる→ザッと塗装
■青島文化教材社 ゴジラ(2023)を作る 第2回 微修正→あずき色を塗る→調整
■青島文化教材社 ゴジラ(2023)を作る 第3回 細かい所の塗装を詰めていく
人生に於いてはその節目節目で立ち止まり振り返る事は大切な事なのかもしれないが、こと僕の模型製作に於いてはあまり節目で立ち止まらない方が良いようである。
例えば「組み上げたぞ、さあ塗装の前に一旦落ち着こう」と一息つこうものならその後の『塗装を始める』ために必要なエネルギーは『塗装を続ける』事に対して必要なそれよりも圧倒的に量が必要となると感じている。
熱狂は、その只中にて継続、進行する事がエネルギーの根源なのである。
模型製作は『繋がりのある段落毎の営み』であるよりも『全て地続きの連続した行為』であった方が僕にとっては良いらしい。
途切れる事のない興奮を堪能しているうちに完成まで到達する事が容易いからであろう。
前夜に良い感じに塗装が進んだので、寸暇でもあろうものなら筆を動かそうと思っている自分を俯瞰してそんな事を考えたり等、した。

通勤中にインターネットで『ゴジラ-1.0』の画像を眺めて頭にイメージを叩き込んでいると、ふと傷の再生痕が単色でないと気がついた。尤も、世の中単色であるものって本当に限りある気がしているのだけれども、黄色のような白のようなどちらともとれるその傷痕の中に血の赤を感じたのであった。
やり過ぎないように、あずき色を再生痕の中に重ねていく。
決してやり過ぎず、かといって意味がない程でもなく相応の量である。

相応に塗り重ねると、情報量等が増すものだ。
初期にシャバシャバにして塗り重ねたあずき色はほとんど見えなくなっているけれども、僅かにでも存在するその色合いが情報量となってゴジラ(2023)に存在感を与えてくれていると思う。
今回の些細な一手もそうなれば良い。