軽やかに在りたいものだ、と最近思う。
生き方の話や自分自身の立ち振る舞いの話ではない。
ベースギターの音作り、特にファズをかけた所謂ファズベースの音作りについて特にそう思うのであった。
記憶を遡ってみたとていつから自分が歪んだエレクトリック・ベースギターの音に惹かれているかいまいち判然としないのだけれども、人生で一番最初に購入したファズペダルはビックマフのロシア製、黒いデカいアレだったと記憶している。
今からもう20年以上前の話だ。
当時はまだ黒いロシア製ビッグマフは木箱に入って楽器屋で普通に販売されており、何なら投げ売りさえされていたのだった。
確か新品で8000円くらいで買えたのではなかったか。
その頃ライブハウスで共演するベーシストの足元にも結構な頻度で置かれていた黒いロシア製ビッグマフが所謂『ファズペダル』なのかは意見が分かれるところではありそうだけれども、僕はショートスケールのフェンダー ムスタングベースをメインの楽器として愛用している最中。
今でこそムスタングベースも低域が出る楽器と認識しているけれども、扱いに工夫がいるショートスケールベースを扱いきれなかった当時の僕からすれば、ビッグマフを踏み込んだ時の方がブ厚い低音がアンプから飛び出るという事でロシア製ビッグマフを気に入って使っていた記憶がある。
しかし使用楽器との組み合わせ的にそう感じたまでであり、特にロシア製ビッグマフ(黒)が低域がブ厚いかと言われるとそうでもなくむしろ(低域は)出るには出るけれども変に低域をブーストしたり強調したりもせず、ピーキーな音ではなかったという印象が強い。
しかし、だからこそ扱いやすくて気に入っていたのだなと最近は思う。
その後もビッグマフに限らず様々なファズをベースギターに通してはライブで演奏したり録音したりスタジオで試してみたりしたのだけれども、大抵僕が気に入るファズペダルというのは低域が強調されるでもなく損なわれるわけでもなくというような絶妙なあんばいのものばかりなのであった。
勿論低域が前にせり出してくるようなものだったり低域が膨らむものも単体で聴けば格好良いのだけれども、アンサンブルに混ざると「難儀だなあ」と感じる事の方が多かった。
低域が前にズンズンせり出すタイプのファズだとアンサンブル中で「歪んでる」感を感じられるような音作りにするのにまた苦労する。
ファズの重心が低域寄りだと普段ファズをオンにしていない時はその逆の音作り(多分僕は割と高域寄りの音作りをしていると思う。というかそういう好みなんだと思う)をしているが故にオン時に量感的にバランスを取るのが難しかったり、ギャーンというギターと重なった時に歪んでる感を感じられるような音作りに到達するのに苦労する事が多い。
「低域はバイパス時とほとんど同じくらいの量感の方がアンサンブル中では扱いやすいのかも」と思ったのはつい最近の事である。
気になったら即、実験すべきである。
一度頭をフラットにし、出来るだけ先入観を排除してめぼしいファズをとっかえひっかえベースギターに通しては音を出した。
結果。

2026年最初の「これが今の僕の最適解!」。
wren and cuff BOX OF WARをBOSS LS-2で原音ブレンドして出力。
BOX OF WARの低域は元々ドライシグナルをブレンドしなければならない程貧弱ではないのだが(実際、なしでも使用に耐え得ると思う)、こうする事で低域の厚みが増すので扱いやすくなる。重心は下がらずに扱いやすさを向上させる事が出来る組み合わせだと感じた。
音の嗜好も変わるし自分の感性も緩やかに変化し続けるし、そうなると自分の機材も常に見直し続けなければならないと改めて気が付いた。機材を愛好するという事も因果なものだ。