ス ト レ ス が 溜 ま る と 散 在 す る 。
そう、俺はストレスを物欲で発散する。それはもう一息に。
ここ最近仕事が立て込んでいたりちょっと慌ただしかったりネガティブな気持ちになったりする事が少々あってストレスがたま、ごめん、言い過ぎた、そうだね、ストレスだなんて言う程ストレスを感じちゃいない。普段よりちょっと、ちょっとだけ頑張ってる事にかこつけて自分にご褒美あげたくなっただけである。
そういう時に買っちゃうものっていうのはとかく「特に必要かと言われたらすぐに必要ではないけれども漫然と欲しかったり余裕があったら手元にあると楽しいだろうな、生活が豊かになるだろうな」的なものである。しかも値段が手頃な。
僕の場合は今回、これだった。
面白い音がするエフェクターを安価に、というナイス過ぎるコンセプトを掲げて関西発、日本中に個性的なペダルを送り出すBANANANA effectsのキルスイッチ「MUTE SW」である。
キルスイッチっていうと大層かつ物騒な響きであるけれどもわかりやすく言うと「押してる間だけ音を完全にミュートする」スイッチである。ツマミもなし、電源不要、ジャックはインプットとアウトプットだけ。物凄くシンプル。ただこのキルスイッチ、スイッチが見た通りユニークである。
懐かしくないだろうか?思い出すじゃあないかゲームセンターで格闘ゲームに興じた(残念ながら僕はスコンスコンに下手だったのでCOM相手でもすぐにぼこぼこにされたへっぽこゲーマーである)あの日々を!
「16連射して下さい」と言わんばかりのこのスイッチ、これがこのブランドのキルスイッチを個性的なものにしている。いやもう超わかりやすいんだけど連射しやすいんだよねこのスイッチ。通常のスイッチより圧倒的に軽い。エフェクターのスイッチが軽いと困るだろうけれども(ガツンとした踏み応えを重んじる演奏者もおられますね、僕もそうです)、キルスイッチの場合は軽い方が面白い。
音をミュートする、といってもチューニングするためにキルスイッチを使うわけじゃあない。いやそうやって使ってもいいだろうけれどもこのキルスイッチ、攻めの姿勢で使って下さい、音をバッツバツに切って下さいとスイッチから強烈に訴えかけてくるようじゃあないか。大体ミュート機能も備えてるペダルチューナーが溢れている現在ではキルスイッチを足元に置く奴なんてちょっと変な奏法したいとかそういう奴に決まっている。あ、違ったらごめんなさいね。
というわけでこれ、ベースをガイーンと鳴らして音を寸刻みにする、とかフレーズを弾きながらバツバツ音を切る(そう、トム・モレロ師匠がギターのPUセレクターでやっていたように)とか使い道は大いにある。
そもそも、何故キルスイッチを使おうと思ったか。
インパクトのある音を出すという事はつまり同時に、その音が消えた瞬間もインパクトがあるはずだと考えたからである。特にエネルギー量、存在感共に凄まじい低音なら猶更である。ライブハウスで興奮して機材トラブルが発生、ベースアンプからの音が出なくなった時のあの衝撃、あのアンサンブルがすっからかんになってしまったあの空虚さ、「ハハハ、音圧は舟橋さんが一人で担っていたんですね、だからこそいなくなった瞬間凄いスッカスカでしたよ!」と言われた時の複雑な心中、あれらが一挙に去来したのだ。
あの瞬間的な低音の、さながら真空状態。あれを制御する事は演奏行為に他ならないと考えたのである。
キルスイッチもリズムを意識して踏めばどのような音楽のアンサンブル中でも汎用性はあるはずで、それも試してみたかったというのもある。
実際、自室にて触っているとただ「音をミュートする」という事が如何に表現力に富んでいるかがよくわかる。
休符を操るエフェクターなんだな、とひとりごちた次第である。
コメント