シャビーボーイズというバンドは日常的によくライブを観ているわけではないけれど、何だか相応の間隔で共演している。そもそもお恥ずかしい話ではあるが、自分の活動と生活っていうもののバランスを考慮してスケジュールを組んだ結果、なかなかライブハウスに遊びに行けていないのが実情。そんな中ではシャビーボーイズは僕にしてはよくライブを観ている方かもしれない。そりゃあ毎回ライブに行かれているお客さんからすれば僕の観たシャビーボーイズのライブというのは彼らの活動のほんの一端に過ぎないのだろうけれど、それでもその一度一度がとても印象的なのも事実である。
新宿JAMで『空想ワールド』で涙腺が決壊し、生まれて初めてライブハウスで号泣しながらライブを観たあの夜も、ベースギターを弾いていたいちろー君の最後のライブも、そして何なら見逃した事で二度と忘れられなくなってしまったseapusでのライブ(観てないけど)も、りっちゃん加入後、初めて共演した鶴舞K.Dハポンも全てが印象深い。忘れられない瞬間があるっていうのは良いライブだったという事だ。
いちろー君がバンドを去って、サポートメンバーを入れて活動する、とかいっその事辞めてしまうとか色々な選択肢がある中で、彼らをメンバーをずっと探していたそうだ。そしてボーイズはガールと出会った。
メンバーが正式に決まったからリリースがあったわけでもないけれどツアーに出る。実にシャビーボーイズらいし真摯さで彼らはツアーに出、そしてツアーファイナルを3月20日に池下UPSETで迎えた。
i GOのサポートベースギターリストとして先陣をきって演奏。フロア最前列の辺りにりっちゃんがいる。この少し前に早朝の栄で紹興酒を一緒に飲んで見事に僕を潰した酒豪だ。まだ若く、20歳そこそこである。酒では負けた。だが演奏では負けない。こういうシチュエーションで一番の花向けとなるのは良い演奏だと信じている。しかも同業者が眼前にいるならば、と大いに張り切って演奏出来た。
palitextdestroyもキドリキドリも気合いの入った良い演奏をしていた。
でもやっぱりこの日のシャビーボーイズは「良いライブ」+αの演奏をしていた。実に瑞々しい、4人で音を出す事を慈しむような、そんな演奏。
ツアーに出て多くの瞬間を共にしたからっていうのもあるのだろうな、凄く強いバンドになっていて本当に驚いた。同じバンドかってくらいの変貌っぷりで、ステージ脇、腰を降ろして幕越しに観ていた僕は打ちのめされた。照明の目潰しでひょっとしたらフロアからは見えないかもしれない生々しい表情も手に取るように見える。
あんなに楽しそうに演奏する人達はそういない。
いちろー君が辞める、と高津君から歌舞伎町のラーメン二郎で聞かされたあの日の『空想ワールド』は節目に向かって突き進んでいくある種の美しい悲壮感、区切りを打つのだと決めたバンドが醸し出すだからこその強さが胸を打った。しかしこの日の『空想ワールド』は全く真逆の気配を纏い、何かが始まったんだと胸を打ち鳴らした。
胸がすくような「やられた!」って快感の中、ライブは終了。
良いイベントの後は怒涛のように打ち上げる。ジム・ビームのストレートを皆であおったりして大いに楽しんだ。
シャビーボーイズ、メンバー加入、改めておめでとう。そして岐阜のアルコール狂いりっちゃん、素晴らしいバンドが転がるきっかけになってくれて有難う。彼らの、そして貴方の一ライバルとして言いました。
また、やりましょう。
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