僕の閲覧履歴や所謂「いいね」の方向性をAIアルゴリズムが分析、僕の興味のありそうな情報を中心にSNSに表示する事を『フィルターバブル』というそうなのだが、このフィルターバブルの効果でかつて僕のタイムラインはそのほとんどがエフェクターの情報ばかりであった。
最近はそこに模型製作に関する情報が物凄い勢いで入ってきており一見「世の中はプラモデルとエフェクター好きばかりなのか」と言いたくなるようなタイムラインに成り果てているのだが、そんな限定的な情報ばかりを『見せられて』いるSNSでもやはり最新の情報は入ってきやすいので、そこそこに楽しんで閲覧している。
そんなある日、electro-harmonix社の公式アカウントが新商品に関する動画を投稿、それに友人知人、好事家達が反応しているのを見た。「エレハモさんの新作となると気になるねェ」と動画を観、すぐさま僕は妻に相談した。
「ベース用のビッグマフの新作が出るらしいので、日本に入ってきたら買って良いか」。

持つべきものは理解ある妻と楽器屋勤務の友人である。
妻の「(ファズならばもうこればっかりはいた仕方ないので購入しても)良い」という購入許可と「入荷したら連絡します」という言葉通りすぐさま連絡をくれた友人S氏のお陰でelectro-harmonix BassBigMuff π2(マニュアルのよると略してBBMP2となるらしい)は無事僕の手元に届いたのであった。
ぶっちゃけ動画を視聴したり新商品のアナウンスを流し読みした時点では目新しい点は特になく、BassBigMuffに原音ブレンド機能が付いたくらいだな程度にしか思っていなかった。いや何なら従来のBassBigMuffは音量こそ固定なれどファズシグナルにドライシグナルを混ぜ込む事が出来たし何なら割と音作りしやすいファズペダルであった。BassBigMuffとそれの機能省略+小型化したnano~も所有しているけれども結構ライブで使ったり録音で用いたりした。
それでも迷う事なく購入したのはメタリックなグリーンの塗装が格好良かったのと「これまで散々っぱら世話になったんだから買わないわけにはいかないだろう」という信頼のような感情故にであった。
しかしながら衝動的に購入した後にメーカーサイトを読んでいて知ったんだけれども、これはBassBigMuffの新作というよりも昨年末頃に出ていたBigMuffπ2のベース版という位置付けなんだね。BigMuffπ2は70年代にお蔵入りになったデュアルオペアンプ(オペアンプ2基使ってるという事)仕様のBigMuffを元に現代仕様で開発したもの。
故にこのBassBigMuffπ2もこれまでのBassBigMuffとは成り立ちが違う。BassBigMuffの新作というよりかはπ2のベース版と捉えた方が良さそうである。
しかして、ベーシスト的にはやはりこれまでのBassBigMuffとどう違うのか気になるところ。トランジスタとオペアンプによる回路的な違いはベースギターで運用する際にどう差異が出るのか。
果たして、これまでBassBigMuffのみならずロシアンマフ系のクローンも色々買ってきて楽しんできた僕としてもこれは十二分に導入する価値があった。
SUSTAIN(いうまでもないが歪み具合だ)をフルアップ、TONE(従来のビッグマフ系と同じ、左に回すと低域が大暴れ、右に回すと低域が減って高域が大暴れ)も同じくフルアップした状態かつBLEND(右に回していく程、ドライシグナルからファズシグナルに寄ってくる。時計の12時で50:50との事)もフルアップにした状態で『ベースギターで使うBigMuff』枠で最近一番お気に入りのwren and cuff FADE FONTと比べてみたところ、BBMP2は明らかにローミッド辺りの密度が高い。FADE FONTはローミッド辺りがすっきりしているのでその分極低域が感じられるのと柔らかい質感だがBBMP2はゴツゴツした手触りである。
これがデュアルオペアンプ回路の成せる業、なのか。完全に好みだけれども僕は大いに有り、と思った。
中域が充実したBigMuffサウンドを、それが『本来のBigMuffサウンド』といって良いのかはペダルとの付き合い方の信条的な部分に触れる事になってくるので是非については言及しないでおこう。音的にはしっかりとBigMuffを感じている。
ちなみに高域の出方も申し分なし。歪み方はキメが粗過ぎず細か過ぎず。
中域が充実しているが故にそう感じるのか、VOLUMEは結構デカ目。時計の9時頃から始める事をマニュアルも推奨してる。確かにそれくらいから始めれば丁度良い。
BASS BOOST機能はオンにした瞬間に笑ってしまう程、それこそ親の仇みたいに低域がブ厚くなる。元々太めの音なのにBASS BOOSTスイッチをオンにするとかなりコンモリとした低域になってくる。僕は今のところオフにして楽しんでいる。
コントロール系統でいえばBassBigMuffから今回のBBMP2への変化は正直「何だよBLENDコントロールがついたくらいかよ」と思ったんだけど中域が充実したBigMuffサウンドにスムーズかつ素直な利きのBLENDコントロールがついた事で「原音の後ろでファズがうっすら鳴る」から「ファズの後ろでうっすら原音が鳴る」まで出来るし、BLENDコントロールでドライシグナルとファズシグナルのバランスをとった音をVOLコントロールで音量を調節出来るのは欲しい音に辿り着きやすいという意味で大変有効であると感じた。
これまでのBassBigMuffはドライシグナルの音量が固定だったのでやりたい音作りによっては制約があったけれども、このコントロール追加は地味なようで結構有難い事なのだと弾いてみて気が付いた次第。
あと最近のこのサイズのエレハモのペダル、ツマミがツルツルしていて絶妙に好きじゃなかったんだけどこのBBMP2はツマミの縁がギザギザになってる。高級感があって良い。
マニュアルを読んで初めて気が付いたのだけれども、スイッチは0.5秒以上長押しする事で自動的にラッチからアンラッチに切り替わる仕様。EarthQuakerDevicesのペダルに搭載されているフレキシスイッチと同じである。まさかエレハモがそんな機能をペダルにブチ込んでくるとは思わなかったのでこれも嬉しい驚きであった。
コントロール幅良し、音量良し、機能性も良しとBBMP2はBassBigMuffの正当進化版ともいえるものなのであった。
これなら十徳ナイフみたいにペダルボードにインストール出来る。
いいじゃん!