やはり、定期的に『大きな音』を出す必要はあると再認識した。
この場合の『大きな音』というのは所謂ベース・アンプで増幅されスピーカーから出力される信号の事である。
現代日本の住宅事情が如何様なものかは定かではないけれど、自宅に完全防音(しかもエレクトリック・ベースギターの強力な信号を防音出来る程完璧な防音、である。低音というのは本当にエネルギーが凄い。壁や地面を伝わっていくからである)された部屋がありそこでライブやスタジオ練習さながらの音量で楽器演奏が出来るなら問題はないが、恐らくそんな環境が備えてある人間は極々一部であり、ほとんどの演奏家が自宅では小口径のベースアンプか練習用のヘッドホン・アンプ、或いはオーディオインターフェースを経由したパソコンのヘッドホン端子等を用いて自らの楽器の音を聴いているに違いない。
で、経験がお有りの方は共感頂けると思うがクリーントーンは兎も角、エレクトリック・ベースギターを歪ませた際はヘッドホンで確認した音と実際に背中にスピーカーを「背負って」音を聴くのとでは随分と印象が違う。
スピーカーを通って空気を含んだ音を聴くからなのか、それとも間に通過している機器の影響なのか、空間系やプリアンプは印象こそ変わらないものの、歪み系は時にその印象さえ大きく異なる音を出してくるものだからたまらない。
常に作業環境が同一であれば問題はないのだろうけれども、僕の場合は主にライブやスタジオでアンプを通して自分の音を聴く事が大半なのでこの差異には大変困らされる事になる。
勿論完全にその出音が両環境間に於いて乖離するわけではないので探りを入れる事は可能だが、それでもやはり大きな音で確認しないといざ現場で「あれッ!こんな音だったっけナァ」だなんて事になりかねないのである。
というわけで愛用の歪みとELECTROGRAVE謹製のブレンダーを携えて、ベース・アンプを「背負って」音を出した時は自分のディストーションサウンドがどのようになるか試行錯誤してきた。
少し前まではメインの歪み(EarthQuakerDevicesから出ているRATをモチーフとした凶悪なペダルである)をそのまま直列で繋いでいたのだが、「ハマれば強い」状態で時折低域に不足を感じる事があった。歪み方は格好良いし主張具合も素晴らしいのに低域に不足を感じる、という場合はELECTROGRAVE謹製ブレンダーが絶大な効果を発揮する。ドライシグナルをローパスフィルターを通して「こちらが任意で設定した周波数まで」低域をパスさせ、それをエフェクト音に混ぜる事が出来るので、ローエンドだけはドライシグナルそのまま、後はディストーションサウンド!みたいな事が簡単に出来る。
ああでもないこうでもない、と試行錯誤したものの結局ブレンダーを通した愛用ディストーションが分厚く歪んでくれて一番好みだった。
愛用のディストーション=EarthQuakerDevices LifePedal v2はオクターブのコントロールがついており、ビンテージのRATをイメージした歪みにオクターブ上を付加する事が出来る。で、このアッパーオクターブが重心低くて大変扱いやすい反面、それを足せば足す程にローエンドが薄くなってしまう。ブレンダーでドライシグナルのロー成分、場合によってはドライシグナルそのものを足す事でそれを補う事も出来る。
いやなんだよもっと早くこの組み合わせでいけば良かったじゃん、と思ってしまいましたとさ。
自宅だとわかりづらい部分も大きな音だと大変わかりやすかった。
やはり『大きな音』を出す事は定期的に必要である。
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