Jack the Ripper

人間、心の奥底には何がしかの欲求を秘めているものである。

僕の場合は「刈る、剃る」という事であった。

以前坊主頭にしてからというもの、電動バリカンの「道具」としての美しさ、無駄のなさ、機能性に感じ入ってしまったわけなのだが、昨夜久しぶりにそれを手にし、それのスイッチを入れ、それを人の頭にあてがった時僕で久しく感じていなかったあの感覚を思い出したのである。

それは職人魂にも通じるような美意識、技師の精密さに辿りつく作業の効率性、そして人間としての衝動性を兼ね備えた作業である。人の頭を「刈る」というのは実に興奮し、それでいてその興奮が静かで沸騰間際な点においては他に変え難い魅力を発する作業でもある。

新栄CLUB ROCK’N’ROLL井藤氏の頭を刈り取った(12mmの坊主頭に仕上がった)後、僕は抑えがたい衝動を抱え電動バリカンを握ったまま呆然としていた。

静かな興奮は衝動と結びつき、気付くと僕は某ドラマーの陰毛をガッツリ3mm残しで刈っていたのだった。

続・我が逃走

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