前髪をバッサリいった。

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「全くノープランでいくもんですから」
神田佑介はそう言うやいなや右手に持った鋏で何のためらいもなく僕の前髪をバッサリ切り落とした。それはもう、相当な量を。
僕は青ざめた。

そして出来上がったのが写真の髪型。ノープランと言った割にはうまくまとめてくれたと思う。最初はあまりに馴染みのない、そう、洒落た雑貨屋にいるチェックのシャツにカーディガンを着込み、黒縁眼鏡をかけた痩せ型の体型をした店員がしていそうなこの髪型に若干の抵抗をおぼえたものだが、まあ、髪型なんてものは自分も周りも要は慣れである。
慣れてしまえばどうって事はないし、慣れは数日で訪れるだろうしどうせ慣れるならば思い切った髪型にした方が面白いだろう。
幸いにもその場にいた人間からは好評だったので、僕は自分の中でそんな論理を組み立ててついにはこの新しい髪型に興味を抱くようにさえなった。素晴らしき哉、ポジティブ・シンキング。理論や論理というのは一見格式張った融通の効かないもののように思えるが、こうして自分にとって都合の良い使い方をすればかくも柔軟なものなのだと知った。

当分、散髪する必要はなさそうだ。

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