廃墟文藝部『慾望の華』観劇。

夢の中で僕はその人の弱みを握っていた。
その人、つまり高校二年生の頃に僕のクラスの英語の授業を担当していた女性教師である。非常勤講師である彼女は随分とエレガントで、そして色気が凄かった。男子高校生達が静かに、だが熱のこもった下卑た視線で彼女を見ていたのは言うまでもない。
で、その女性教師の弱みを握っていた。
「先生も色々大変なんですねえ」
彼女の運転する車の助手席で、31歳の僕は当時の年齢のままの彼女に言った。恐らく年齢的には今の僕より彼女は若いだろう。あれから15年近く経ち、彼女はようやく年下になったというわけだ。
屈辱と、同時に焦りを感じているのが彼女の表情から見てとれた。その表情が更に自分の劣情を煽り立てるのを確かに感じた。
普段なら、まずは使わないような高級ラブホテルへ入った。

スマートフォンのアラームで目が覚めると10時40分。
目を疑った。11時から千種文化小劇場で廃墟文藝部の第二回本公演を観劇する予定であった。完全に寝坊だ。
諦めるか、と一瞬思ったけれどもすぐに思い直し顔だけザッと洗って家を飛び出した。Tシャツは寝巻代わりにしていたものそのままだ。
家が近い、という事に助けられた。無事に開演よりも前に入場、着席する事が出来た。

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廃墟文藝部の作品をこうしたシチュエーションでしっかりと観劇するのは初めての事である。
主宰のコン太君自身は以前から面識こそあったものの、新栄トワイライトで作品を拝見するまでは未見の団体さんである。
観逃さなくて良かった。観劇後も「これは力入れて作られたんだろうなあ」と思ったし、改めて廃墟文藝部のtwitterアカウントを遡って見てみると「最高傑作」と劇団自らが太鼓判を押しているんだもの、そりゃあ観ておかないと。

登場人物誰一人として感情移入出来なくても、観劇していてつまらないなんて事はありえないという事を実感出来た。
話の展開に感情移入出来ない、登場人物に感情移入出来ない、だけれどもそれは作家と客の考え方の相違でしかなく、そこを訴えるべき作品で作家の考え方や言いたい事が伝わってこない作品もなくはない中で、明確に「違うな」と思えるという事はわかりやすかった、と言い換える事も出来るわけで。
出てくる人間皆が皆「こいつとは仲良く出来ねえな」という人達ばっかりだったけれども、でもなんだろう、同時にそういう人間の事を否定も出来ねえわなあ、とも思ったり。
というかそういう目線で観てた僕が最後まで集中力が途切れずに観終わった後に「面白かった」と思えるっていうのが凄い事だと思う。演出も綺麗だったし、役者の演技も楽しかった(今回のメンツ的に絶対良いでしょそこは、と思ってたけど安定の!って感じだった)。

で、なんだかんだで色々な人と感想話したりしたいなって思うし反芻もしてるから、いや、これはしてやられたり!!

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