先週はなんだかんだで二度も人前で演奏する機会があった。幸いにしてそのどちらも印象深い演奏になり、気付きや得るものがあったので思い出を綴っていこうと思う。
5月最後の日は新栄vioにて「弓指寛治君を偲ぶ会」にてかしやま君(孤独部)、金森君(MoNoSiRo)と映像作家の伊藤貴哉君との即興演奏を行った。
一週間程前に「友人が生前葬をやるからそこでバンド演奏をしてもらえないか」とオファーを貰いなんだその面白いオファーは、とかしやま君と出張る事を決め、どうせなら言い出しっぺの伊藤君にドラムを叩いて貰おうと彼を逆オファー、そしたら伊藤君が金森君を誘おう、と提案しあれよあれよという間に決まった即席バンドでの演奏だ。
打ち合わせも兼ねて彼らのシェアオフィスに行き、弓指君と直接会って話をしたりしているうちに「これは面白いぞ」と確信、当日を楽しみにしていた。即興演奏については前日に一度きりスタジオに入り(即興なのだからいらない、という話にもなったが、文脈はあっても良いだろうと軽く合わせる事になった)、全貌が見えないものの妙な安心感を得、スリルはあったものの不安はない中、ステージに上がる事となった。
この日の会場の様子については是非書いておかねばならない。今まであんなシチュエーションで演奏した事はなかったし、きっと今後もそうそうある事ではないだろうから。
ステージに据えられた棺桶、祭壇、焼香台。
遺影までしっかりある。サッカーボールが志半ば、感を演出していて効果絶大。
この日の足元。
オクターブファズに、そして棺桶。
棺桶の中には弓指君。演奏中、ずっと棺桶の中にいた。
「生前葬、だし湿っぽいイベントではないから暗くない内容で」と打ち合わせたものの、やはりかしやま君はスイッチが入るとフルスロットルで暗い男だ。
非常に彼らしい即興芝居を会場中使って熱演。ドラムの伊藤君とギターの金森君も瞳孔開きっぱなしの演奏をしていて緊張感が凄かった。
お互いがお互いに作用する、即興の中で作られていくアンサンブルは、狙いとは別としても悪くなかったんじゃないかなと思う。
画家であり映画監督でもある弓指君の遺作オークション等の楽しいコーナーを経て、紙コップスも出演。
なんだろ、この感じ!!
弓指君のこの絵、サイズがサイズだったら欲しかったなあ。とても素敵だもの。
得難いシチュエーションでの演奏、刺激的でした。
そしてこれはつい先日の話。
最近手伝っているMoNoSiRoからドラムの小島君が脱退、その最後の演奏をお手伝いしてきた。
おどけているけど、彼は良いドラマーだよ。
この日の演奏は手伝い始めて以来、今までで一番良い演奏が出来たという自負がある。
手伝いだから、とある程度距離を置いて演奏していたというか興奮しないようにしていたタガが適度に外れて、冷静と情熱の間を良い具合に行ったり来たりした。
ドラムとの一体感も、良し。
こういう演奏をしてしまうと彼の脱退が惜しくなるけれど、しかして最後だから出来たという部分も否定出来ない事実てはあるからして、兎に角、小島君、お疲れ様!
ずっと、一生涯、鍛錬と修行ばかりだ。
コメント