デカいステージでストイック気味にベースを弾いた話。

18、19日と名古屋は栄を中心に行われた広小路祭のメインステージで例年のようにステージスタッフとして働いてきた。
今年で何度目だろう、ここ数年は毎年参加しており、これがなきゃ夏が終わった気がしないとまで感じるようになってきた。「何でも貸します」のCMで有名な近藤産興(余談だが、あのCMのコーラスパートは知人が歌っているそうだ)が大掛かりなステージを組み上げ、音響会社から音響スタッフとステージスタッフが何名も派遣され、そしてステージの進行と転換作業は我々が行う、というまさしく共同戦線。
二日目の司会は福井からこのためだけにやってきた山田君(不完全密室殺人)である。
バンド演奏、消防音楽隊の演奏、ダンスユニットの出演etc.と多くの出し物がメインステージで催される中、テンション高いままやりきるあの男は、やっぱりちょっと普通とは違ったスイッチを持っていると再認識出来た。

初日は突然の大雨と落雷でステージ進行が一時中断になるものの、二日目は幸い天気にも恵まれ滞りなく進行する事が出来た。朝早くからの現場入りではあったけれど、終わる頃には「ああ、今年も夏が終わるな…」と感慨深くなるのも例年通り。
しかし例年と違う点があった。今年は演奏も沢山、した。

前述したように様々な出し物が催される中、勤務先に設置されている音楽学校の生徒さん、特に専ら小学校中学年まで(中には中学生もいらっしゃったが)の所謂「キッズ」達の演奏コーナーがありそこで演奏する事になっていたのである。オルガンやキーボード、ドラム等を彼らが担当する際に演奏人員が足りない場合は講師の先生方がギターやドラムで参加されていたのだけれども、僕はベース要員。
セサミストリートのメインテーマから最近のバンド物まで実に二日間で7曲を演奏した。
コード譜や、バンド物ならバンドスコアと各曲の音源は頂いていたのだけど、譜面を見ながらの演奏っていうのは僕みたいな人間には経験があまり、ない。
完全に元のベースラインを暗譜して弾くというのは時間的にも難しく、そして生徒さんメインの演奏であるからして彼らの演奏にあわせやすいようにコード進行を自分なりに紙に書き起こして用意していったのだけど、勿論事前に準備はしていた。
本番数日前から毎晩その準備に従事していたのだけど、この体験は僕自身の良い経験にもなったと思う。
普段演奏しているバンドマンだけでなく、所謂こういうきっちりした自分のテンションや表現欲求よりも本当の意味での「サポート」に徹する演奏(今回はいつも使っている自分のベースを使ったものの、サンズアンプさえ繋がずに演奏した)というのを今経験出来たのは大きいのではないか、と感じた。

家を出がけに朝食をとっていた両親に「僕もベースを弾くから観においでよ」と軽い気持ちで声をかけたら本当に父親が観に来てくれた。父は愛用のデジタル一眼レフで動画も静止画もばっちり撮影しており(まだ確認していないのだけど、公開出来そうなら後日写真をこのエントリーに添付してみようと思う)、勿論父は撮影自体が好きというのもあるのだろうけれども、改めて両親からの息子に対する感情を肌で感じ、照れ臭いながらも嬉しかった。
演奏後の一幕。

僕「父さん今日は有難う!」
父「いやいや」
僕「どうだった?」
父「あれだな、お前、テンポの早い曲だとリズム、つっこむな」
僕「…。」

父はポール。マッカートニーがご贔屓。どうやらベース演奏にもシビアなようである。

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