北海道備忘録~楽器運搬編

まだ北海道ネタ、というか北海道への楽器の持込について、である。

今回、北海道で演奏するにあたって僕が真っ先に考えたのは「楽器をどうするか」という事であった。飛行機で北海道入りする以上選択肢はそう多くはない。受託手荷物(所謂、飛行機に預けてしまう荷物である)として航空会社に預けて飛行機の貨物室に持ち込むか、席をもう一席抑えて機内持込手荷物として持って行くのか。
前者は席を予約した航空会社のwebを見たところ「破損の恐れがあるのでお勧め致しません」とハッキリ書いてあってもうそれだけで心折れた。預ける事は不可能ではなさそうだが、大切な楽器である、お勧めしませんと言われている方法をわざわざ試す気にはならない。
後者は航空会社によってはそういう取扱があるようだが、料金的にも現実的でない。
ううむ、これは万事休すか、と思ったのだが知恵を絞った結果良い方法を思い付いた。

楽器をバラバラにして、発送すれば良いのだ。そうすれば受託手荷物だろうが機内持込手荷物だろうがそもそも僕とは別に飛ぶのだから関係がない。発送さえ済んでしまえば僕は身の回りの品だけ持って北海道入りすれば良い。
幸い今回は先に北海道入りするメンバーがいるので宿泊先のホテル宛に送りつける事が出来る。これだ!と思ったのだがいや待てよ、バラバラにする発想が有りなのであればバラバラにした上でアタッシュケースに詰め込めやしないか、と実家にて最大サイズのアタッシュケースを借りて実際に詰め込んでみた。
結論、どうやったってロングスケールのベースギターをアタッシュケースに詰め込むのは難しいようだ。ショートスケールのロングホーンベースをバラバラにしてリュックサックに詰め込んだり、同じくショートスケールのムスタングベースをバラバラにしてリュックサックに詰めて高速バスに乗った経験はあるのだが、うむ、やはりロングスケールは難しいか。
一瞬今回もムスタングで、とも思ったがいざムスタングベースをスタジオに持ち込んで弾いてみるとやはりロングスケールの楽器の方がアンサンブル的にしっかりとする。あと折角の北海道初演奏だ、ここは愛用の楽器を持っていきたいところ。良い楽器なんだけどね、ムスタングベース。

というわけでYAMAHA SBV-550のサブ機の方をバラバラにして梱包して発送する事に。
ボディとネックは4本のネジで固定してあるだけなので(大抵のボルトオン機構の楽器がそうである)バラバラにするのも組み直すのも簡単なのだが、この楽器実は見た目からはわからないのだがピッグガードの下までネックが延長されておりボディの深くまでネックが仕込まれている構造になっている。なのでネックをボルトオン部でボディから外すにはピッグガードも外さなければならない。音的にも影響がある構造だそうだから文句は言えないが、これはバラバラにする際にはちょっとだけ手間だ。

弦を外しバラバラになったネックとボディを梱包材(プチプチいう奴だ。引っ越しの時に大量に義父が用意してくれたものの余りが倉庫にしまってあった)で何重にも包む。段ボールもジャストサイズのものがないので幾つか組み合わせて一つの大きな箱を作る。構造的にここで弱かったりすると元も子もないので慎重かつ丁寧に。大きな箱を作り上げ、中に支えとなる柱をこれまた段ボールで作り、ボディとネックをしまう。隙間には新聞紙を丸めたものを敷き詰めて蓋を厳重、かつ開封する時に可能な限り手間にならないようにする。開封→組み上げの時間は短ければ短い方が良い。現場ではどんなシチュエーションになるか想像出来ないからだ。最悪車の中で組み上げ、とかも有り得る。

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組み上がったものはそのまま郵便局さんへ。
名古屋の集中局というんだろうか、他県へそのまま発送となる名古屋神宮局の夜間窓口へ持ち込んだ。近所の郵便局の夜間窓口でも良かったのだろうけれども、出来るだけ人の手を渡らないようにした方がリスクも少ないというもの。一応こわれもの扱い、下積み厳禁とシールを貼ったものの、それはそれ。精神衛生上の話である。

で、前日にRISING SUN ROCK FESTIVAL2019自体がなくなったり飛行機が飛ぶのが危ぶまれたり、それでも演奏の場がありそうなので妻と娘と一緒に北海道へ飛んで、先に現地入りしていたベースギターと再会したのは札幌LOGでだった。
流石郵便局さん、丁寧に運んで下さったようで楽器は完全に無事。

ただここで問題発生である。ストラップを忘れてしまった。いや、馬鹿か。弦も組み上げるドライバーも忘れなかったのにストラップを忘れるだなんて!
幸いライブハウスの方に借りる事が出来たが、夜の演奏では用意する時間もなかったのでライブハウス向かいのコンビニで荷造り用のビニール紐を購入、4重くらいに結わえて楽器にガムテープで固定、ストラップとした。これが見た目こそ酷いものの演奏には全く支障はなく「ストラップとは…」と普段自分が使っているものの存在について改めて考えざるを得なかった。演奏中、自分がビニール紐で楽器をぶら下げている事なんて全く忘れてしまうくらいに違和感なかったもの。

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演奏後はビジネスホテルのお世辞にも広いとは言えない部屋で、眠っている妻と娘を横目に再び楽器をバラバラにして梱包した。勿体無いけれど弦は捨てた。どうせ一日だもんな、と今回のために用意したベース弦は980円のもの。メーカー名は失念してしまったがパッケージには大きく「エレクトリックベース弦」と書かれており、安価でこそあったけれども用はきちんと果たしてくれた。同じような価格帯で売っていたWarwick社のベース弦程ザラザラしてもおらず、ちょっとビンビンいうきらいはあったけれど。

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北海道の郵便局さんから楽器を発送した。
往路は170サイズだったけれど復路は160サイズだった。ちなみにゆうパックで北海道宛に楽器を送ると往復で5000円とちょっとかかる。
参考になるケースも少ないかと思うが、参考までに。

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