これは恐らく僕に限った話ではないのだろうけれども、時として『当たり前』を疑いたくなる時がある。
日々のルーティーンを作らないのがルーティーン、と嘯いて何年も経つけれども、それでも意識しないけれども習慣化している事って結構あって、例えば毎日必ず昼食はコンビニで購入した紀州南高梅を具材としたおにぎりを一つ食べるとか、食事の前には約500mlの水を飲んでいる、とか。いや結構習慣あるじゃん僕。
で、当たり前のように使っているものの中にサンズアンプがあるのだけれども、これまで何度か「ひょっとしたらもっと良い(=自分に合う)プリアンプがあるのではないか」と思っては挑戦し、その都度結局サンズアンプに戻ってきたのだけれども、少し前に経験したその「疑念」はここ数年の間では最も強い衝動を伴っており、僕は結局他のプリアンプを相当な期待を込めて購入したのであった。
TronographicのRusty Boxは数年前からtera melosのベーシスト氏が使っていたり、その他様々なイカツい音を出すベーシストが使っている事から「これは良さそうだ」と僕も相当期待していたブツであった。購入を検討するもその度に「いやサンズあるし」と断念し、思いが高じて妻に相談するも「いやサンズあるし」。理解のある妻である。
今回は思いが高じて「中古で安く出回っているのを発見したら回収して良し」と許可を頂けた。わーい。
楽器との出会いは縁だ。
強い思いがあればきっとそのうち出会う事が出来る。今回自分の中で許容範囲と決めていた金額のRusty Boxと出会えたのは、妻と「〇〇〇〇〇円までで出会ったら購入」とガイドラインを策定して数日後の事であった。
購入、到着、そしてスタジオに持ち込んだり、再び自宅でつまみと格闘したりバンド練習に持ち込んだり。
結果的にサンズアンプに帰ったものの(!)、このプリアンプは良いブツである。
コントロール一番右側、このインプットゲインで歪み具合を調節。スイッチ切り替えでハイゲインとローゲインを切り替える事が出来る。あとはマスターボリュームにトレブルにベースにミドルなんだけれども、このミドルがグングン上げたくなる気持ち良さ。70年代のトランジスタアンプのプリアンプ部分を意識したこのプリアンプ、一言でいえば音はゴツい。ハリがあってグイグイと前に出てくるタイプのイカツい音である。
トレブルとベースとミドルを全部12時にすると結構バキバキ目な感じになるのでベースを上げ目、ミドルを少し上げてトレブルを嫌らしくない程度に抑え込んでやると良い感じになった。ブーストスイッチも付いているのだが、ブースト具合を調節出来ないので匙加減が難しいかも。
では何故結局サンズアンプに戻ったのかというと、サンズアンプの重心低めの出音がバンドアンサンブルの中で大変座り心地が良いというか、あの音が自分のデフォルトになっている事を再度認識してしまったからである。
今回の遠回りも意味があった。
Rusty Boxも活躍する日が来るだろうし、良いプリアンプを手に入れられて良かった。