春の出会いにのっかって-山田康裕編-

不完全密室殺人、5月の公演も決まってきております。4月のライブではまた新しい不完全の一面をお見せできるかと。楽しみにしていてください。
さて今回は山田康裕編。

大学2年の頃、それまでやっていたバンド(人生で初めてオリジナルをやったバンドだった)が活動できなくなった。ただライブの興奮と表現欲求に飢えていた僕は何の気なしにインターネットでメンバー募集を開始する。どこかのバンドが拾ってくれるか、面白い人間と新しくバンドが出来ればラッキー。それくらいの軽いノリではあったが、後々ボロが出てはまずい。ありのままを文面に綴った。

「当方音響系ベース(当時は今よりエフェクターの事をわかっていなかったのにこの言い草はお笑いだ)。眼鏡、オタク。ナンバーガールを好む。ルート弾きを好む。フレーズより音色で空間を彩るタイプ」。確かそんなような事を書いた記憶があった。よく書いたなと思う。若さというのは時に無謀にして目茶苦茶な事を書かせるものだ。

どうやら名古屋では慢性的にベース不足らしく、程なくして何通かメールが来た。そのうちの一通が山田康裕からのものだった。「既存の音楽ではなく、全く新しい亜空間音楽をやりたい」。意気込みが伝わる熱いメールだったように思う。顔も知らないその人と、僕は電話で連絡をとり今池(偶然にも家が目茶苦茶近かったのだ)で会う事になった。

待ち合わせ時間から5分程遅れてやって来たその男は眼鏡が怪しく光る、僕に負けず劣らずオタクっぽかった。

自己紹介を終えて少し話した段階で僕はやる気になっていたし、彼もそのようだった。彼の知り合いの女性ドラマーを迎え、「百鬼夜攻」(誤字ではない。山田くん曰くこの方が字画がいいらしい)とギターボーカルによって名付けられたこのバンドは動き出したのである。ちなみに不完全密室殺人でやっている曲の中に「猫娘」という曲があるのだがすでにこの頃から演奏していた。随分と息の長い曲だ。

なんだかんだで「百鬼夜攻」はライブをする事なく事実上の解散となってしまったのだが、山田康裕とはその後もエフェクターの売買やら何やらで繋がっていた。

そして、不完全密室殺人の始まりはある日のエフェクター売買に端を発するのだけどそのあたりは各務鉄平編で語るとしよう。

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