深夜にカッターナイフを振るった話。

時々、無性に何かを作りたくなる。この場合の「何かを作る」は創作活動とかそういうのではなく、言葉通り手を動かして何かを作る事で、工作とかそういう類の行為だ。

僕に電子工作の心得があれば(PEDALmeetingでは有難い事に講師側のお手伝い要員で毎回参加させて頂いているけれど、あれにしても技術があるとかそんなのではなく、事前講習にしっかり参加しているだけの事である)エフェクター等作ったりして欲求と実益のバランスを取ったりも出来るのであろうけれども生憎とそんな技術も工具もない。

少し前に手を出してみたプラモデルは二つ目を作っている最中に突然、本当に突然明確に「これはもう、なんかいいな」と欲求が尽きたのを感じてしまい続ける事が出来なかったし、漫画を描いたり絵を描いたりとかっていうのも続かない。結局「手を動かして何かを作る」事からは外れるけれど、僕がコツコツと続けられている事なんてバンド活動とこの日記代わりのブログくらいのものだ。
けれど定期的に「手を動かして何かを作る」欲求は湧き起こり、昨夜も突然「工作がしたい」という衝動に駆られた。

衝動的な行動は多動性を有する者の特徴らしいけれども、僕は台所の隅に置いてあった段ボール箱を解体し、同じサイズの段ボールの板を3枚作り出した。重ねてそれぞれを両面テープで接着する。
その上に愛用のペダルを置いて、肩をくり抜けるように段ボールに鉛筆で縁取りを書き込んだ。
そう、昨夜はなんだかんだで1時間半程かけて簡易エフェクターボードを工作したのであった。

頻繁に足元が入れ替わる事から、僕は毎ライブ毎に会場入りしてから足元を組んでいる。ギグケースやエフェクターケースに入れて運び込んだペダルを板にガムテープで固定していくのだが、強度や移動手段の面からみてもこの方法が一番理にかなっていると思われた。マジックテープはなんだか強度的に心配なのと、ペダル毎にマジックテープを貼り付けるのが億劫なのである。
それに板にガムテープでペダルを貼り付ける形にしてから、なんだかんだトラブルは激減したのであった。かれこれ数年、ずっとこうだ。
ただ少し不便なのは会場入り後にペダルボードを組み上げる時間が必要な事、演奏後に持ち運べるようにガムテープを引っ剥がしてまた「板」と「ペダル」に分けなければならない事である。あと練習の時、皆がサクサク準備をしたり片付けをしている際に僕はバタバタと足元を繋いでは配置し、練習が終われば必死にケーブルを抜いてペダルを箱に入れ、更にそれを楽器ケースに仕舞い込んでいる。大変、慌ただしい。
嗚呼、せめて車移動の日だけでも良い。自宅からスタジオ、スタジオから自宅までペダルボードを組んだまま運搬可能なシステムが構築出来ないだろうかと思案していたところだったのだ。ガムテープを使わず、スポッと溝にペダルをはめ込んでやる形にすればその板をポンと足元に置くだけで演奏の準備が随分と手早く出来るようになるはずである。つまりガムテープで板にはめているペダルを、溝にはめ込んでやるようにするわけだ。
これはきっと、便利になる。
振るうカッターナイフにも力が入った。

一時間半後、僕は突然とんでもない事に気が付いた。
Tone Jobのスペースが、ない」

まさか最近特にお気に入りの、しかもかけっぱなしのペダルの存在を瞬間でも失念するだなんて。
ま、使えない事はないし工作欲求は満たされたので良しとしよう。

2021_02_09_001

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