鈴木実貴子ズ ワンマン@今池HUCK FINN そして位相の話。

7月3日、久しぶりに大きな音が出せるライブハウスにて演奏。
鈴木実貴子ズのワンマンライブ@今池HUCK FINNだった。

この日も十分な音量ではあったのだが体にビリビリくる音量っていうのはやっぱり格別であり、そりゃあ僕も「大切なのは音量ではなく表現力だし大きな音が出せる事自体は決してスキルでもなんでもない」とか嘯いてきたけれど、ライブハウスのステージの上で鳴らされる大音量の前ではそんな口上も消し飛ぼうってもんである。
俺はやっぱりベース・アンプリファイアを通して十二分に増幅されたエレクトリック・ベースギターの音に己の気持ちを込めて演奏したいのである。
いや、この日もなんだかんだ結構出してたんだけどね、音量。

実に緊急事態宣言以降、この日で今池HUCK FINNもライブ公演はまだ2公演目だったそう。
コロナ禍を経てその存在自体が危ぶまれたライブハウスという場所がこれからどのようにその在り方を変えていくのか、僕のように見識も狭ければ渦中で歯を食いしばるわけでもない人間には断定出来ないけれど、この日の今池HUCK FINNは細心の注意と配慮と、そしてその場にいた全員にお互いへの配慮があった。
リスクを踏まえた上で尚、そのリスクを低減させる配慮。『新しい生活様式』というような事が言われ始めたし事実ライブハウスが以前のような光景を取り戻すのか、そしてそれにはどれだけ時間がかかるのか、それとも全く別の光景が繰り広げられるのか、どのような時間を経ようともこの日今池HUCK FINNで過ごした時間は少なくとも僕にはこの先への希望を感じるには十分であった。

そしてこの日のPAはナベちゃん。
以前「舟橋君のベースは位相が逆相になってるかもね。今まで違和感なくやってきたなら気にする必要もないけど」とナベちゃんに教えて貰って、少しだけ位相について調べてみた。

どうやらバスドラムが踏まれた瞬間の音の出方を正相とし、位相が乱れているとノイズキャンセリングイヤホンのようにバスドラの音とベースの音がお互いに干渉して音の聴こえ方にも影響が出てしまうようだ。同様にベースのラインシグナルとマイク録りした音も位相が反転していると干渉しあって迫力のない変な音になってしまうとの事。
ライブの現場についてはきっと今までPAさんが日常的な仕事の範疇で手を入れて来て下さった(思えばそれらしいやりとりをミキサー宅のPAさんとステージスタッフの方の間で交わされているのを耳にした記憶も何度か、ある)のだろうけれども、バスドラとベースの音についてはこれ、普段のスタジオ練習から影響あったんじゃないか?
結局「特に弾いてて違和感もなかったわけだしライブの時は専門家に任せよう」と割り切ってこの日まで過ごしてきたものの、終演後にナベちゃんとファズやらリサイクルショップの話やらしている時に再び位相の話になり、やっぱり面白そうだし気になってもうちょっと調べてみる。興味だけが募る。
で、ライブの翌日に偶然にもホームセンターに行く機会があったのでテスターを購入、自分のベースが逆相になっている事を視覚的にも確認しようと早速ケーブルを挿してチェックしてみた。
ホット側にプラス、アース側にマイナスの極を触れさせてピックアップをドライバーで叩くと確かに触れた瞬間、針がマイナス側に動く。

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「おお、逆相だ…」
続いてオーディオインターフェースに繋いでベースの信号を録音、波形を見てみると確かに波形の最初の山が下側から始まっている…。

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ピックアップのホットとアースを配線し直すだけで位相が反転するらしい、と知り妻も娘が昼寝している間に息を潜めながら簡単な電気工作。
その結果、位相が(どうやら)正相になった。
位相がどうであれ単体で聴いても変化はない。他の音と混ざった時に効果を実感するかどうか。
今まで何年も自分が当たり前のように弾いてきた環境が変化するのだとしたら、それはそれで楽しみだ。

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